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理由で解く 柔道整復師

QJ29P007 衛生学・公衆衛生学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問7
問題
「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に提唱されている4つのケアに含まれないのはどれか。
選択肢
1 セルフケア
2 ラインによるケア
3 家族や友人によるケア
4 事業場内産業保健スタッフによるケア
解答
正解3(家族や友人によるケア)
解説

「4つのケア」は、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアです。家族や友人によるケアは含まれないため、3が答えになります。

設問の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(平成12年)は、現在は労働安全衛生法第70条の2に基づく「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年、メンタルヘルス指針)に引き継がれており、4つのケアという枠組みは旧指針から現行指針まで共通です。したがって、どちらの名称で問われても答えは変わりません。この指針は、事業者が心の健康づくり計画を策定し、4つのケアを継続的・計画的に進めることを求めています。セルフケアは労働者本人がストレスやその不調に気づいて対処することで、事業者は教育研修・情報提供と、相談しやすい環境づくりで支えます。ラインによるケアは管理監督者が職場環境等の把握と改善を行い、部下からの相談に対応すること。事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、産業医・衛生管理者・保健師・心の健康づくり専門スタッフ等が具体的な計画の立案と実施を担い、労働者と管理監督者を支援し、事業場外資源との連絡調整の窓口となること。事業場外資源によるケアは、産業保健総合支援センターや医療機関、外部EAPなど事業場外の専門機関のサービスを活用することです。「自分 → 上司 → 社内の専門職 → 社外の専門機関」と内側から外側へ広がる4段階として整理すると、抜けや取り違えが起きにくくなります。

✓ 3. これが答え(4つのケアに含まれない)
家族や友人によるケア
家族や友人の支えは実際の回復に大きく役立ちますが、この指針が事業者に求めているのは事業場の内と外の体制であり、4つ目にあたるのは「事業場外資源によるケア」です。指針の枠組みを問われていると読み取ります。
✗ 1. 答えではない(4つのケアに含まれる)
セルフケア
労働者自身がストレスに気づき、対処法を実行することです。事業者側は、教育研修・情報提供や相談窓口の周知によって、本人が動けるように支援します。
✗ 2. 答えではない(4つのケアに含まれる)
ラインによるケア
管理監督者が日常的に職場環境等を把握して改善し、部下の「いつもと違う」変化に気づいて相談に応じることです。長時間労働や人間関係など、職場側の要因に手を入れられる立場にあります。
✗ 4. 答えではない(4つのケアに含まれる)
事業場内産業保健スタッフによるケア
産業医・衛生管理者・保健師・心の健康づくり専門スタッフ等が、計画の立案と実施、労働者や管理監督者への専門的支援、事業場外資源との連携窓口を担います。なお現行のメンタルヘルス指針での正式名称は「事業場内産業保健スタッフによるケア」で、この「等」には人事労務管理スタッフも含まれます。選択肢4のように「等」を省いた表記でも指しているものは同じなので、含まれるケアとして扱います。
ポイント
  • 設問の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(平成12年)=現行の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年、メンタルヘルス指針、労働安全衛生法第70条の2)。4つのケアの枠組みは共通。
  • 4つのケア=セルフケア/ラインによるケア/事業場内産業保健スタッフ等によるケア/事業場外資源によるケア。
  • 4つ目は「家族」ではなく「事業場外資源」。ここが最頻出のひっかけ。
  • 3つ目は現行指針では「等」が付き、産業医・衛生管理者・保健師に加えて人事労務管理スタッフも含む。
  • 「自分 → 上司 → 社内の専門職 → 社外の専門機関」と内から外へ広がる4段階で覚える。
  • 事業者は心の健康づくり計画を策定し、継続的・計画的に実施する。関連制度としてストレスチェック制度(労働安全衛生法、常時50人以上の事業場で実施義務)がある。
比較表
4つのケア担い手主な内容
セルフケア労働者本人ストレスへの気づきと対処、自発的な相談
ラインによるケア管理監督者職場環境等の把握と改善、部下の相談対応
事業場内産業保健スタッフ等によるケア産業医・衛生管理者・保健師・心の健康づくり専門スタッフ・人事労務管理スタッフ等計画の立案と実施、専門的支援、外部との連絡調整
事業場外資源によるケア産業保健総合支援センター、医療機関、外部EAP等事業場外の専門的サービスの活用、ネットワーク形成

※指針名の変遷:平成12年「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(本問の表記)→ 平成18年「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)。4つのケアは旧指針から提唱されており、名称が変わっても枠組みは同じ。

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