学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ29A125

理由で解く 柔道整復師

QJ29A125 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問125
問題
腫瘍と発生原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 神経線維腫症-遺伝
2 腎癌-トロトラスト
3 大腸癌-低栄養
4 前立腺癌- 化学染料
解答
正解1(神経線維腫症-遺伝)
解説

神経線維腫症は、癌抑制遺伝子の変異が親から子へ伝わる遺伝性腫瘍症候群。他の3つは発癌因子と標的臓器の対応が入れ替わっている。

神経線維腫症は常染色体顕性(優性)遺伝を示し、1型(レックリングハウゼン病)ではNF1遺伝子の変異により、カフェオレ斑と全身の多発性神経線維腫、虹彩小結節などが現れる。2型では両側の聴神経鞘腫が特徴的である。生まれつき癌抑制遺伝子の片方に変異をもつため、もう片方が後天的に傷つくと腫瘍化しやすい(ツーヒット説)という仕組みで、若年発症・多発性という遺伝性腫瘍に共通の性格を示す。一方、化学発癌物質は標的臓器がほぼ決まっている。トロトラスト(かつて造影剤に用いられた二酸化トリウム)は肝臓に沈着して長期にわたり放射線を出し、肝血管肉腫や肝内胆管癌を起こした。化学染料に含まれる芳香族アミンは尿中に排泄される過程で膀胱上皮に作用し、職業性膀胱癌の原因となった。この種の設問は「物質と臓器の組合せ」をセットで記憶しておくのが実戦的である。

✓ 1. 正しい
神経線維腫症-遺伝
NF1/NF2遺伝子の変異による常染色体顕性遺伝性疾患で、遺伝性腫瘍症候群の代表。1型ではカフェオレ斑と多発性神経線維腫、2型では両側聴神経鞘腫がみられる。
✗ 2. 誤り
腎癌-トロトラスト
トロトラストは肝臓に沈着して長期に放射線を出し、肝血管肉腫や肝内胆管癌を起こした造影剤。腎癌の危険因子は喫煙・肥満・高血圧・長期透析であり、組合せが合わない。
✗ 3. 誤り
大腸癌-低栄養
大腸癌は動物性脂肪の多い食事、食物繊維の不足、肥満、飲酒、喫煙といった過栄養・欧米型の生活習慣が危険因子。低栄養ではなく、むしろ栄養過多の側に位置づけられる。
✗ 4. 誤り
前立腺癌- 化学染料
化学染料に含まれる芳香族アミン(ベンジジン、β-ナフチルアミン)は膀胱癌の職業性発癌因子。前立腺癌は加齢・男性ホルモン・家族歴が関与し、化学染料とは結びつかない。
ポイント
  • 遺伝性腫瘍症候群:神経線維腫症、家族性大腸腺腫症、網膜芽細胞腫、リ・フラウメニ症候群。若年発症・多発性が共通の特徴。
  • 化学発癌は物質と標的臓器をセットで:芳香族アミン→膀胱癌、アスベスト→中皮腫・肺癌、塩化ビニル→肝血管肉腫、トロトラスト→肝血管肉腫・肝内胆管癌、ベンゼン→白血病。
  • ウイルス発癌:HPV→子宮頸癌、B型/C型肝炎ウイルス→肝細胞癌、EBウイルス→バーキットリンパ腫・上咽頭癌、HTLV-1→成人T細胞白血病。
  • 大腸癌は高脂肪・低食物繊維など過栄養型の生活習慣が背景。胃癌は高塩分とヘリコバクター・ピロリ感染。
  • 発癌は多段階(イニシエーション→プロモーション→プログレッション)で進む。
比較表
発癌因子種類主な標的腫瘍
NF1/NF2遺伝子変異遺伝(内因)神経線維腫症
トロトラスト(二酸化トリウム)放射性物質肝血管肉腫、肝内胆管癌
芳香族アミン(化学染料)化学物質膀胱癌
アスベスト粉塵悪性中皮腫、肺癌
高脂肪・低食物繊維食生活習慣大腸癌
HPV/B型・C型肝炎ウイルスウイルス子宮頸癌/肝細胞癌
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。