学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §6 歩行 / QJ29A114

理由で解く 柔道整復師

QJ29A114 運動学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問114
問題
トレンデレンブルグ徴候を引き起こすのはどれか。
選択肢
1 大殿筋
2 中殿筋
3 大腿四頭筋
4 前脛骨筋
解答
正解2(中殿筋)
解説

トレンデレンブルグ徴候は股関節外転筋、とくに中殿筋の筋力低下によって生じる。片脚立位で遊脚側の骨盤が下がるのが特徴である。

片脚立ちでは、体重の作用線が支持脚の股関節の内側を通るため、骨盤は遊脚側へ傾こうとする。これを支持脚側の中殿筋(および小殿筋)が収縮して引き止めることで、骨盤は水平に保たれる。上殿神経麻痺、変形性股関節症、発育性股関節形成不全、大腿骨頸部骨折後などで中殿筋の張力が落ちると、この釣り合いが崩れて遊脚側の骨盤が下がる。これがトレンデレンブルグ徴候であり、この徴候を伴う跛行を中殿筋歩行(トレンデレンブルグ歩行)と呼ぶ。一方、骨盤を下げる代わりに体幹を支持脚側へ傾け、重心を支持脚の股関節の上に移して外転筋の負担を減らす代償もみられる。これがデュシェンヌ徴候(デュシェンヌ跛行)である。なお、外転筋不全が両側性に及び、歩行のたびに体幹が左右へ大きく振れる歩容は動揺性歩行(waddling gait)と呼ぶ語で、片側性のデュシェンヌ徴候の別名ではない。評価は後方から上後腸骨棘と骨盤の高さを比べて行い、陽性であれば外転筋の筋力強化と、背景にある股関節疾患への対応を並行して進める。

✓ 2. 正しい
中殿筋
片脚立位で骨盤を水平に保つ主役となる股関節外転筋。筋力が低下すると遊脚側の骨盤が下がり、トレンデレンブルグ徴候が陽性となる。
✗ 1. 誤り
大殿筋
股関節伸展の主働筋。筋力低下では立脚期に体幹を後方へ反らして重心を股関節の後方に置く大殿筋歩行が現れる。
✗ 3. 誤り
大腿四頭筋
膝関節伸展の主働筋。筋力低下では立脚期に膝折れが起こり、手で大腿を押さえて支える歩容になる。骨盤の傾きとは結びつかない。
✗ 4. 誤り
前脛骨筋
足関節背屈筋。麻痺では下垂足となり、遊脚相でつま先が引っかからないよう膝と股関節を高く上げる鶏歩がみられる。
ポイント
  • トレンデレンブルグ徴候=支持脚側の中殿筋の筋力低下により、片脚立位で遊脚側の骨盤が下がる。この徴候を伴う跛行が中殿筋歩行(トレンデレンブルグ歩行)。
  • デュシェンヌ徴候(デュシェンヌ跛行)=体幹を支持脚側へ傾けて重心を股関節の上に移す代償。骨盤を下げる代わりに体幹を倒す点が違い。
  • 動揺性歩行(waddling gait)は外転筋不全が両側性の場合に体幹が左右へ大きく振れる歩容を指す語。片側性のデュシェンヌ徴候の別名ではない。
  • 背景疾患は上殿神経麻痺、変形性股関節症、発育性股関節形成不全、大腿骨頸部骨折後など。
  • 観察は後方から。上後腸骨棘や腸骨稜の高さの左右差を確認する。
  • 陽性なら外転筋の筋力強化を中心に、原因疾患の評価と対応を並行して進める。
比較表
筋力低下する筋現れる徴候・歩行特徴
中殿筋トレンデレンブルグ徴候/中殿筋歩行(トレンデレンブルグ歩行)片脚立位で遊脚側の骨盤が下がる
中殿筋(代償が働いた場合)デュシェンヌ徴候(デュシェンヌ跛行)体幹を支持脚側へ傾けて重心を股関節の上に移す
大殿筋大殿筋歩行立脚期に体幹を後方へ反らす
大腿四頭筋膝折れ・大腿四頭筋歩行手で大腿を押さえて膝を支える
前脛骨筋下垂足・鶏歩遊脚相で足先が下垂し、膝を高く上げる
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