学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §6 歩行 / QJ29A113

理由で解く 柔道整復師

QJ29A113 運動学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問113
問題
正常歩行時の下腿三頭筋の筋活動で正しいのはどれか。
選択肢
1 立脚相初期に強く働く。
2 蹴り出しの力として働く。
3 遊脚相で足関節を背屈位に保つ。
4 内転方向のモーメントを制御する。
解答
正解2(蹴り出しの力として働く。)
解説

下腿三頭筋は立脚終期から前遊脚期にかけて足関節を底屈させ、身体を前上方へ押し出す蹴り出し(push-off)の力を生む。

歩行中の足関節周囲筋は、相ごとに役割が入れ替わる。踵接地から荷重応答期では前脛骨筋が遠心性に働き、足底が床に打ちつけられないよう底屈をゆっくり許す。立脚中期に入ると足部が床に固定されたまま下腿が前方へ倒れていき、下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)が遠心性収縮でこの前傾にブレーキをかけて安定を保つ。続く立脚終期から前遊脚期では求心性に強く収縮し、踵離地からつま先離地までの推進力、すなわち蹴り出しを生み出す。遊脚相では下腿三頭筋の活動はほぼ止まり、代わって前脛骨筋が足関節を背屈位に保ってつま先が床に引っかかるのを防ぐ。前額面での内外転モーメントの制御は主に股関節外転筋群が担っており、矢状面の底屈筋である下腿三頭筋の役割ではない。

✓ 2. 正しい
蹴り出しの力として働く。
立脚終期から前遊脚期に求心性収縮で足関節を底屈させ、踵離地からつま先離地までの推進力を生む。歩行中の下腿三頭筋の最も大きな仕事である。
✗ 1. 誤り
立脚相初期に強く働く。
踵接地から荷重応答期に強く働くのは、底屈を制御する前脛骨筋(遠心性収縮)である。下腿三頭筋の活動が高まるのは立脚中期以降。
✗ 3. 誤り
遊脚相で足関節を背屈位に保つ。
遊脚相でつま先の引っかかりを防ぐために背屈位を保つのは前脛骨筋の役割。下腿三頭筋は底屈筋であり、遊脚相ではほぼ休止している。
✗ 4. 誤り
内転方向のモーメントを制御する。
前額面での内転・外転モーメントの制御は中殿筋などの股関節外転筋群が担う。下腿三頭筋は矢状面で働く底屈筋である。
ポイント
  • 踵接地〜荷重応答期=前脛骨筋の遠心性収縮で足底の接地を制御。
  • 立脚中期=下腿三頭筋が遠心性収縮で下腿の前傾にブレーキ。
  • 立脚終期〜前遊脚期=下腿三頭筋が求心性収縮で蹴り出し。歩行推進力の主役。
  • 遊脚相=前脛骨筋が背屈位を保持し、つま先のクリアランスを確保。
  • 前額面(内外転)の制御は股関節外転筋群。矢状面と前額面で担当する筋を分けて整理する。
比較表
歩行の相下腿三頭筋前脛骨筋
踵接地〜荷重応答期ほぼ休止遠心性に強く活動
立脚中期遠心性(下腿の前傾を制御)活動は低下
立脚終期〜前遊脚期求心性に最大活動(蹴り出し)休止
遊脚相休止背屈位を保持
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