学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §10 生殖 / QJ29A095

理由で解く 柔道整復師

QJ29A095 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問95
問題
性分化で正しいのはどれか。
選択肢
1 テストステロンの作用で原始生殖腺が分化する。
2 テストステロンの作用でウォルフ管が発達する。
3 エストロゲンの作用でミューラー管が発達する。
4 エストロゲンの作用でウォルフ管が退化する。
解答
正解2(テストステロンの作用でウォルフ管が発達する。)
解説

胎児期の精巣から分泌されるテストステロンによって、ウォルフ管(中腎管)が精巣上体・精管・精嚢へ発達します。性分化はまず遺伝子、次にホルモンという順番で進みます。

胚は当初、ウォルフ管とミュラー管の両方をもつ「どちらにもなれる」状態にあります。分岐点になるのがY染色体上のSRY遺伝子(精巣決定因子)で、これが働くと未分化な原始生殖腺が精巣へ分化します。できあがった精巣は2種類の物質を出し、ライディッヒ細胞のテストステロンがウォルフ管を男性内性器へ育て、セルトリ細胞の抗ミュラー管ホルモン(AMH)がミュラー管を退縮させます。SRYがない場合は精巣ができず、テストステロンもAMHも出ないため、ウォルフ管は自然に退化し、ミュラー管がそのまま卵管・子宮・腟上部へ発達します。つまり女性型は特定のホルモンに「されて」できるのではなく、男性化の指令がないときの既定の経路です。ここを取り違えると3と4のような選択肢に引っかかるので、「男性化は能動、女性型は既定」と押さえましょう。

✓ 2. 正しい
テストステロンの作用でウォルフ管が発達する。
胎児精巣のライディッヒ細胞が分泌するテストステロンが、ウォルフ管(中腎管)を精巣上体・精管・精嚢へと発達させます。男性内性器の形成を担う中心的な作用です。
✗ 1. 誤り
テストステロンの作用で原始生殖腺が分化する。
原始生殖腺を精巣へ分化させるのは、Y染色体上のSRY遺伝子(精巣決定因子)です。テストステロンは分化してできた精巣から分泌されるものなので、順序が逆になっています。
✗ 3. 誤り
エストロゲンの作用でミューラー管が発達する。
ミュラー管は抗ミュラー管ホルモンが存在しない場合に自然と卵管・子宮・腟上部へ発達します。エストロゲンの作用によって発達するのではなく、男性化の指令がないときの既定の経路です。
✗ 4. 誤り
エストロゲンの作用でウォルフ管が退化する。
ウォルフ管はテストステロンによる維持がなければ自然に退化します。エストロゲンが積極的に退化させるわけではありません。退化の理由は「男性ホルモンの不在」です。
ポイント
  • 性分化の順序は、SRY遺伝子(精巣決定因子)→精巣への分化→ホルモン分泌→内性器の分化。
  • テストステロン(ライディッヒ細胞)がウォルフ管を精巣上体・精管・精嚢へ発達させる。
  • 抗ミュラー管ホルモンAMH(セルトリ細胞)がミュラー管を退縮させる。
  • SRYがなければ精巣ができず、ウォルフ管は自然退化、ミュラー管が卵管・子宮・腟上部へ発達する。
  • 「男性化は能動的な指令、女性型は指令がないときの既定経路」と覚える。
比較表
男性(SRYあり)女性(SRYなし)
原始生殖腺SRYにより精巣へ分化卵巣へ分化
分泌されるものテストステロン、抗ミュラー管ホルモンいずれも分泌されない
ウォルフ管(中腎管)発達→精巣上体・精管・精嚢退化
ミュラー管(傍中腎管)AMHにより退縮発達→卵管・子宮・腟上部
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