学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ29A094

理由で解く 柔道整復師

QJ29A094 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問94
問題
インスリンの作用で正しいのはどれか。
選択肢
1 脂肪組織での脂肪分解促進
2 筋肉での蛋白質分解促進
3 肝臓でのグリコーゲン合成促進
4 赤血球へのグルコース取り込み促進
解答
正解3(肝臓でのグリコーゲン合成促進)
解説

インスリンは肝臓でグリコーゲン合成を促進し、血糖を貯蔵に回します。「食後に余ったものをしまい込む同化のホルモン」という一言で、作用の全体像がつかめます。

インスリンは膵島のB(β)細胞から血糖上昇に応じて分泌される、唯一の血糖降下ホルモンです。血糖を下げる道筋は3つあり、(1)骨格筋・脂肪組織の細胞膜にGLUT4を呼び出してグルコースを取り込ませる、(2)肝臓と筋でグルコースをグリコーゲンとして貯蔵する、(3)肝臓での糖新生とグリコーゲン分解を抑える、という具合です。同時に脂肪組織では中性脂肪の合成を進めて分解を抑え、筋では蛋白質の合成を進めて分解を抑えます。つまり糖質・脂質・蛋白質のすべてについて「合成に向かわせ、分解を止める」向きに働きます。逆に、グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンは分解の向きに働く血糖上昇ホルモンです。同化か異化かで分類すれば、細かい作用も自然に整理できます。

✓ 3. これが答え
肝臓でのグリコーゲン合成促進
インスリンはグリコーゲン合成酵素を活性化し、取り込んだグルコースをグリコーゲンとして肝臓に貯蔵させます。同時にグリコーゲン分解と糖新生を抑えるため、血糖が下がります。
✗ 1. 当てはまらない
脂肪組織での脂肪分解促進
インスリンは脂肪組織でホルモン感受性リパーゼを抑制するため、脂肪分解はむしろ抑えられます。逆に中性脂肪の合成と蓄積を促進する、同化の向きの作用です。
✗ 2. 当てはまらない
筋肉での蛋白質分解促進
インスリンは筋へのアミノ酸取り込みと蛋白質合成を促し、分解を抑えます。促進されるのは合成のほうです。インスリン作用が不足すると筋の蛋白質が分解され、やせが進みます。
✗ 4. 当てはまらない
赤血球へのグルコース取り込み促進
赤血球はインスリン非依存性のGLUT1でグルコースを取り込むため、インスリンの影響を受けません。インスリン依存性(GLUT4)なのは骨格筋・心筋・脂肪組織で、脳もGLUT1・GLUT3による非依存性です。
ポイント
  • インスリンは膵島B(β)細胞から分泌される唯一の血糖降下ホルモン。同化(合成)方向に働く。
  • 肝臓・筋でグリコーゲン合成を促進し、肝臓の糖新生とグリコーゲン分解を抑制する。
  • 脂肪組織では脂肪合成を促進し分解を抑制、筋では蛋白質合成を促進し分解を抑制。
  • インスリン依存性の糖取り込みはGLUT4(骨格筋・心筋・脂肪組織)。赤血球はGLUT1、脳はGLUT1・GLUT3で非依存性。
  • 血糖上昇ホルモンはグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど複数ある。
比較表
組織インスリンの作用糖輸送体
肝臓グリコーゲン合成促進、糖新生・分解抑制GLUT2(非依存性)
骨格筋糖取り込み・グリコーゲン合成・蛋白質合成促進GLUT4(インスリン依存性)
脂肪組織糖取り込み・脂肪合成促進、脂肪分解抑制GLUT4(インスリン依存性)
赤血球影響を受けないGLUT1(非依存性)
影響を受けないGLUT1・GLUT3(非依存性)
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