学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ29A075

理由で解く 柔道整復師

QJ29A075 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問75
問題
腕神経叢が通過するのはどこか。
選択肢
1 前斜角筋の前
2 前斜角筋と中斜角筋の間
3 中斜角筋と後斜角筋の間
4 後斜角筋の後
解答
正解2(前斜角筋と中斜角筋の間)
解説

腕神経叢は、前斜角筋と中斜角筋の間にできる斜角筋隙(斜角筋三角)を、鎖骨下動脈といっしょに通り抜けます。

前斜角筋・中斜角筋・第1肋骨の3つで囲まれた三角形のすきまが斜角筋隙で、ここを第5頸神経から第1胸神経の前枝が集まってできた腕神経叢と、鎖骨下動脈が並んで通ります。一方、鎖骨下静脈は前斜角筋の前面を通って鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)へ抜けるので、前斜角筋を挟んで動脈・神経とは別ルートになります。さらに前斜角筋の前面には横隔神経が下行します。つまり「前斜角筋の前は静脈と横隔神経、前斜角筋の後ろのすきまは動脈と腕神経叢」と、筋を境界線に見立てて2列に整理するのが最短です。斜角筋の緊張や頸肋があるとこのすきまが狭くなり、上肢のしびれ・脱力・脈の減弱を生じます(胸郭出口症候群のうちの斜角筋症候群)。臨床でも試験でも問われる形は同じなので、位置関係をそのまま図に描いて確認しておくと定着します。

✓ 2. 正しい
前斜角筋と中斜角筋の間
ここが斜角筋隙です。腕神経叢の根と幹、および鎖骨下動脈が通り、第1肋骨の上を越えて鎖骨の後ろを通り腋窩へ向かいます。同じすきまを通るのが「神経叢+動脈」の2つだけである点を、静脈と対比させて覚えてください。
✗ 1. 誤り
前斜角筋の前
ここを通るのは鎖骨下静脈と横隔神経で、腕神経叢の通り道ではありません。前斜角筋を境に「前は静脈」「後ろのすきまは動脈と神経」と分けて図示しておくと、選択肢1と2の取り違えがなくなります。
✗ 3. 誤り
中斜角筋と後斜角筋の間
中斜角筋と後斜角筋は互いに接して第1〜2肋骨に付着しており、神経血管束が通る明確なすきまをつくりません。なお長胸神経や肩甲背神経が中斜角筋を貫いて出る点は別項目として押さえておくと役立ちます。
✗ 4. 誤り
後斜角筋の後
後斜角筋の後方は肩甲挙筋などの後頸部の筋層で、腕神経叢はここを走りません。腕神経叢は前・中斜角筋の間から前下外側へ抜けて鎖骨下・腋窩へ向かう、という進行方向をイメージしておきましょう。
ポイント
  • 斜角筋隙=前斜角筋+中斜角筋+第1肋骨で囲まれる三角。通るのは腕神経叢と鎖骨下動脈
  • 鎖骨下静脈は前斜角筋の前を通って肋鎖間隙へ。静脈だけルートが違う、が最頻出の対比。
  • 横隔神経(C3〜C5)は前斜角筋の前面を下行する。
  • 腕神経叢はC5〜T1の前枝。根 → 幹(上・中・下) → 前後の分束 → 索 → 末梢神経、と並び替わりながら腋窩へ進む。
  • 胸郭出口症候群の絞扼部位は3か所:斜角筋隙(斜角筋症候群)、肋鎖間隙(肋鎖症候群)、小胸筋の下(過外転症候群)。
比較表
通路通る主な構造覚え方
前斜角筋の鎖骨下静脈、横隔神経静脈と横隔神経は筋の手前を素通り
斜角筋隙(前斜角筋と中斜角筋の間)腕神経叢、鎖骨下動脈神経と動脈はセットで筋の間へ
中斜角筋と後斜角筋の間(神経血管束の通路ではない)長胸神経・肩甲背神経は中斜角筋を貫く
後斜角筋の後(後頸部の筋層。通らない)肩甲挙筋などが位置する
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