学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §7 生殖器系 / QJ29A067

理由で解く 柔道整復師

QJ29A067 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問67
問題
男性生殖器で誤っているのはどれか。
選択肢
1 精子は精巣でつくられる。
2 射精管は尿道に開口する。
3 精嚢の分泌物は果糖を含む。
4 前立腺は男性ホルモンを分泌する。
解答
正解4(前立腺は男性ホルモンを分泌する。)
解説

この設問は「誤っているもの」を選ぶ問題です。男性ホルモン(テストステロン)を分泌するのは精巣の間質細胞(ライディッヒ細胞)で、前立腺ではありません。したがって答えは4です。

精巣は、精子をつくる外分泌の働きとテストステロンを分泌する内分泌の働きを1つの臓器で兼ねています。精細管の中ではセルトリ細胞に支えられながら精祖細胞が減数分裂を経て精子になり、精細管どうしのすきまを埋める間質細胞が下垂体の黄体形成ホルモンの刺激を受けてテストステロンを血中へ出します。できた精子は精巣網から精巣輸出管を経て精巣上体管に貯えられ、精管へ進み、精管膨大部で精嚢の排泄管と合わさって射精管となり、前立腺の中を貫いて尿道前立腺部の精丘に開きます。ここで押さえたいのは、精嚢・前立腺・尿道球腺という3つの付属腺はいずれも精液の液体成分を尿道へ出す外分泌腺であり、ホルモンを血中へ出す内分泌腺ではないという点です。前立腺はむしろ、テストステロン(組織内でより強力なジヒドロテストステロンに変換される)を受け取って発育と機能を保つ標的臓器の側にあります。「つくるのは精巣、受け取るのが前立腺」と向きで覚えると取り違えません。

✓ 4. 誤り(これが答え)
前立腺は男性ホルモンを分泌する。
前立腺は乳白色・弱酸性(pH 6.4前後)の分泌液を尿道へ出す外分泌腺で、精液のおよそ2〜3割を占めます。分泌液には酸性ホスファターゼや前立腺特異抗原(PSA)、クエン酸、亜鉛が含まれ、精液の凝固と再液化にかかわります。男性ホルモンを分泌するのは精巣の間質細胞であり、前立腺はそのホルモンを受け取る側です。この向きを逆に覚えていた場合は、「精巣=産生、前立腺=標的」と書き直して定着させてください。
✗ 1. 正しい(答えではない)
精子は精巣でつくられる。
精巣の精細管の壁(精上皮)で、精祖細胞から精母細胞・精子細胞を経て精子がつくられます。セルトリ細胞が支持と栄養を担い、血液精巣関門をつくって精子を免疫から隔てています。記述どおりで、設問の条件には当てはまりません。
✗ 2. 正しい(答えではない)
射精管は尿道に開口する。
精管膨大部と精嚢の排泄管が合流して射精管となり、前立腺の実質を貫いて尿道前立腺部の精丘(精阜)に開口します。前立腺を尿道と射精管が貫くという位置関係もあわせて押さえておくと、図の問題にも対応できます。
✗ 3. 正しい(答えではない)
精嚢の分泌物は果糖を含む。
精嚢液は精液の約7割を占める粘り気のあるアルカリ性の液で、果糖が精子の運動のエネルギー源になります。プロスタグランジンも含みます。精液全体が弱アルカリ性(pH 7.2〜8.0)に保たれるのは、量が多くアルカリ性のこの精嚢液が主役だからです。名前から精子を貯める袋と誤解されやすいのですが、精子の主な貯蔵場所は精巣上体管です。名称と機能を切り離して覚えましょう。
ポイント
  • テストステロンは精巣の間質細胞(ライディッヒ細胞)から分泌。下垂体の黄体形成ホルモン(LH)が刺激する。
  • 精子形成は精細管で、セルトリ細胞が支持・栄養と血液精巣関門を担う(卵胞刺激ホルモンの標的)。
  • 精路:精細管 → 精巣網 → 精巣輸出管 → 精巣上体管(精子の貯蔵) → 精管 → 射精管 → 尿道。
  • 付属腺はすべて外分泌腺。精嚢(約70%・果糖・アルカリ性)、前立腺(約20〜30%・乳白色・弱酸性・PSAや酸性ホスファターゼ)、尿道球腺(カウパー腺・アルカリ性の粘液で尿道を中和し潤す)。
  • pHは「分泌液単独」と「混合後の精液」を分けて覚える。前立腺液そのものは弱酸性(pH 6.4前後)だが、量の多い精嚢液がアルカリ性のため精液全体は弱アルカリ性(pH 7.2〜8.0)になる。
  • 前立腺は尿道と射精管に貫かれる。加齢に伴う肥大は尿道に近い内側(移行領域)に、癌は外側(辺縁領域)に起こりやすい。
比較表
器官・細胞出すもの出す先要点
精巣・間質細胞(ライディッヒ細胞)テストステロン血中(内分泌)男性ホルモンの産生元はここ
精巣・精細管(セルトリ細胞)精子精路(外分泌)支持・栄養、血液精巣関門
精嚢果糖・プロスタグランジンを含むアルカリ性液射精管 → 尿道精液の約70%。精子は貯めない
前立腺乳白色・弱酸性(pH 6.4前後)の液(PSA、酸性ホスファターゼ、クエン酸、亜鉛)尿道前立腺部精液の約20〜30%。アンドロゲンの標的臓器
尿道球腺(カウパー腺)アルカリ性の粘液尿道海綿体部射精前に尿道を潤し中和する
(混合後の精液は pH 7.2〜8.0 の弱アルカリ性。腟内の酸性環境から精子を守る)
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