学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §32 足関節外側靱帯損傷の診察 / QJ29A031

理由で解く 柔道整復師

QJ29A031 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問31
問題
前距腓靱帯断裂で誤っているのはどれか。
選択肢
1 足関節外果部前方の皮下出血斑
2 内返し強制での疼痛増強
3 足関節周囲の圧痛
4 前方引き出しテスト陰性
解答
正解4(前方引き出しテスト陰性)
解説

前距腓靱帯が断裂すれば距骨の前方への動きを止められなくなるため、前方引き出しテストは陽性になる。「陰性」とする4が設問の答え。

前方引き出しテストは、下腿遠位部を後方へ押さえながら踵部を前方へ引き出し、健側と比べて距骨の前方移動が大きいか、抵抗の終わり(エンドポイント)が柔らかいかをみる検査で、前距腓靱帯の連続性を評価する。断裂していれば移動量が増え、明確な制動が感じられない。ただし急性期は疼痛と筋防御、腫脹のために正確な判定が難しく、偽陰性になりうる。その場合はRICE処置で腫脹と痛みを落ち着かせてから改めて評価し、外果の骨折や第5中足骨基部骨折などが否定できないときは画像診断につなぐ。皮下出血斑は受傷直後には現れず、1〜数日たってから外果の前方から下方に広がって出現することが多い。

✗ 1. 正しい所見(設問の答えではない)
足関節外果部前方の皮下出血斑
前距腓靱帯は外果の前方から距骨頸へ走るため、断裂に伴う出血が外果前方の皮下に現れる。受傷直後ではなく、1〜数日たってから下方へ広がって見えてくるのが特徴。
✗ 2. 正しい所見(設問の答えではない)
内返し強制での疼痛増強
内返しを強制すると損傷した前距腓靱帯が引き伸ばされ、痛みが強まる。受傷機転を再現する動きで痛みが出るのは靱帯損傷を裏づける所見である。
✗ 3. 正しい所見(設問の答えではない)
足関節周囲の圧痛
外果前方の前距腓靱帯走行部に限局した圧痛が基本で、腫脹が広がると周囲にも圧痛を認める。圧痛点の位置は損傷靱帯の見分けと骨折の除外の手がかりになる。
✓ 4. これが誤り(正解)
前方引き出しテスト陰性
断裂していれば距骨の前方移動が健側より大きくなり、エンドポイントも不明瞭になるため、テストは陽性となる。急性期は疼痛と筋防御で判定できず見かけ上陰性になることがあるので、その場合はRICE処置後に日を改めて再評価する。
ポイント
  • 前距腓靱帯断裂では前方引き出しテスト陽性(距骨の前方移動増大、エンドポイントが柔らかい)。左右差の比較が必須。
  • 圧痛は外果前方の靱帯走行部に限局。内返し強制で疼痛が増強する。
  • 皮下出血斑は受傷直後には出ず、1〜数日後に外果前方から下方へ広がって出現する。
  • 急性期は疼痛・筋防御・腫脹で不安定性テストが偽陰性になりうる。RICE処置後に日を改めて再評価する。
  • 外果骨折や第5中足骨基部骨折が否定できないときは画像診断につなぐ。
比較表
検査評価する靱帯陽性所見
前方引き出しテスト前距腓靱帯距骨の前方移動が健側より増大、エンドポイント不明瞭
内反ストレステスト踵腓靱帯(+前距腓靱帯)距骨傾斜角の増大、内反動揺性の増大
圧痛点の触診損傷部位の同定外果前方=前距腓、外果下方=踵腓、外果先端・第5中足骨基部=骨折を疑う
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