学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §30 下腿三頭筋肉ばなれの診察 / QJ29A028

理由で解く 柔道整復師

QJ29A028 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問28
問題
下腿三頭筋肉離れで誤っているのはどれか。
選択肢
1 直達外力による発生頻度が高い。
2 下腿中央部内側に圧痛を認める。
3 足関節の他動的背屈強制で疼痛を認める。
4 下腿をつかむと足関節が底屈する。
解答
正解1(直達外力による発生頻度が高い。)
解説

この設問は「誤っているのはどれか」を選ぶ問題である。誤っているのは選択肢1の「直達外力による発生頻度が高い」。肉離れは自分の筋の収縮、すなわち介達外力によって起こる損傷である。

下腿三頭筋の肉離れは、膝伸展位のまま足関節が急に背屈強制される場面など、腓腹筋(とくに内側頭)が引き伸ばされながら収縮するときに起こる。テニスの切り返しやダッシュ、踏み込み動作で多く「テニスレッグ」とも呼ばれ、受傷時に後ろから蹴られたような衝撃を自覚することがある。損傷部位は腓腹筋内側頭の筋腱移行部で、下腿後内側に限局した圧痛と陥凹、足関節の他動的背屈による伸張痛、つま先立ちの困難などがみられる。最も重要なのはアキレス腱断裂との鑑別で、下腿三頭筋の筋腹を握って足関節が底屈すれば腱の連続性は保たれている(トンプソンテスト陰性)。初期はRICE処置と足関節軽度底屈位での固定で断端を近づけ、疼痛の推移に合わせて荷重と可動域を進めていく。

✓ 1. これが誤り(正解)
直達外力による発生頻度が高い。
肉離れは介達外力(自家筋力)による損傷で、遠心性収縮の際に筋自身の張力で断裂する。外からの打撃=直達外力で生じるのは筋挫傷(打撲)であり、発生機序が異なる。
✗ 2. 妥当な記述(設問の答えではない)
下腿中央部内側に圧痛を認める。
好発部位である腓腹筋内側頭の筋腱移行部は、下腿の近位〜中央部の内側にあたる。ここに限局した圧痛を認めるのは典型的な所見である。
✗ 3. 妥当な記述(設問の答えではない)
足関節の他動的背屈強制で疼痛を認める。
背屈は下腿三頭筋を引き伸ばす方向であり、損傷部に伸張痛が生じる。伸張テストとして評価に使える所見である。
✗ 4. 妥当な記述(設問の答えではない)
下腿をつかむと足関節が底屈する。
トンプソンテスト陰性、すなわちアキレス腱の連続性が保たれていることを示す。下腿三頭筋肉離れではこの反応が保たれ、アキレス腱断裂との鑑別点になる。
ポイント
  • 肉離れ=介達外力(自家筋力)。打撲=直達外力。機序で分ける。
  • 下腿三頭筋肉離れの好発は腓腹筋内側頭の筋腱移行部(テニスレッグ)。
  • 膝伸展位+足関節背屈強制で腓腹筋は最大に伸張される(二関節筋)。
  • アキレス腱断裂との鑑別はトンプソンテスト——底屈すれば腱は連続(肉離れ側)。
  • 初期はRICEと足関節軽度底屈位の固定。疼痛に応じて荷重・可動域を段階的に進める。
比較表
下腿三頭筋肉離れアキレス腱断裂
圧痛部位下腿後内側(筋腱移行部)踵骨付着部の2〜6cm近位
陥凹筋腹〜筋腱移行部に触れることがある腱の走行上に明らかな陥凹
トンプソンテスト陰性(底屈する)陽性(底屈しない)
つま先立ち疼痛のため困難だが可能なことがある不能
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