学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §29 膝関節内側側副靱帯損傷の固定 / QJ29A027

理由で解く 柔道整復師

QJ29A027 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問27
問題
膝関節内側側副靱帯損傷の固定で誤っているのはどれか。
選択肢
1 大腿近位部から下腿遠位部まで固定する。
2 固定は腓骨頭に綿花枕子をあてる。
3 固定期間は4~5週とする。
4 固定除去後は外反・外旋を制限する。
解答
正解3(固定期間は4~5週とする。)
解説

この設問は「誤っているのはどれか」を選ぶ問題である。誤っているのは選択肢3の「固定期間は4〜5週とする」。膝内側側副靱帯(MCL)損傷の固定は損傷程度に応じておおむね数日〜3週間程度が目安で、4〜5週の完全固定は通常選ばれない。

MCLは膝の外反・外旋を制動する靱帯で、接触プレーなどで膝の外側から外反が強制されたときに損傷する。固定は膝軽度屈曲位(およそ10〜20度)とし、大腿近位から下腿遠位までを含めて、てこの腕を長くとることで外反を確実に抑える。腓骨頭の後外側には総腓骨神経が皮下の浅い位置を回っているため、この部には綿花枕子を当てて圧を分散させ、神経麻痺を防ぐ。固定期間はⅠ度なら支柱付きサポーターや弾力包帯で数日〜1週間程度、Ⅱ度でも2〜3週間程度を目安とし、固定中から大腿四頭筋のセッティングなど、その場でできる筋収縮運動を始める。膝は動かさない期間が長いほど拘縮しやすい関節なので、必要な期間で固定を終え、以後は外反・外旋を制限する装具やテーピングに切り替えて活動範囲を段階的に広げていくのが望ましい。

✗ 1. 妥当な記述(設問の答えではない)
大腿近位部から下腿遠位部まで固定する。
膝関節をまたいで大腿近位から下腿遠位まで含めることで、外反を止めるてこの腕が長くなり、少ない圧で確実に制動できる。適切な固定範囲である。
✗ 2. 妥当な記述(設問の答えではない)
固定は腓骨頭に綿花枕子をあてる。
腓骨頭部は骨と神経が皮下の浅いところにあるため、枕子で圧を分散させて腓骨神経麻痺(下垂足、第1趾間背側の感覚障害)を予防する。適切な配慮である。
✓ 3. これが誤り(正解)
固定期間は4~5週とする。
長すぎる。MCLは血行に恵まれ保存療法で治りやすい靱帯であり、Ⅰ度で数日〜1週間、Ⅱ度でも2〜3週間程度が目安。4〜5週の完全固定は関節拘縮と筋萎縮を招き、かえって復帰を遅らせる。
✗ 4. 妥当な記述(設問の答えではない)
固定除去後は外反・外旋を制限する。
外反・外旋は受傷機転そのものであり、治癒途上の靱帯に再びストレスがかかる方向である。装具やテーピングでこの方向を制限しながら段階的に負荷を上げる。
ポイント
  • MCL損傷の固定肢位は膝軽度屈曲位(約10〜20度)、範囲は大腿近位〜下腿遠位。
  • 腓骨頭部には綿花枕子——総腓骨神経の圧迫による麻痺を防ぐ。
  • 固定期間はⅠ度で数日〜1週間、Ⅱ度で2〜3週間程度が目安。長期の完全固定は拘縮・筋萎縮を招く。
  • 固定中も大腿四頭筋セッティングなどで筋を働かせておく。
  • 固定除去後は受傷機転である外反・外旋を制限しながら復帰させる。
比較表
程度動揺性(健側差)固定の目安
Ⅰ度ほぼなし(5mm未満)弾力包帯・サポーターで数日〜1週間程度
Ⅱ度あり、終末感あり(5〜10mm)軽度屈曲位で2〜3週間程度、その後装具へ
Ⅲ度大きい、終末感なし(10mm以上)合併損傷の評価が必要。医師へ紹介
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