学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §29 膝関節内側側副靱帯損傷の固定 / QJ32A031

理由で解く 柔道整復師

QJ32A031 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問31
問題
膝関節内側側副靱帯損傷でギプスシャーレ固定後に足背部にしびれを訴えている。考えられる圧迫部位はどれか。
選択肢
1 鵞足
2 腓骨頭
3 脛骨粗面
4 大腿骨外側上顆
解答
正解2(腓骨頭)
解説

足背のしびれは総腓骨神経の圧迫を示します。膝周囲でこの神経が骨に接して最も浅く走るのは腓骨頭(腓骨頸)部であり、ここが圧迫部位として考えられます。

総腓骨神経は膝窩の外側縁を大腿二頭筋腱の内側に沿って下り、腓骨頭の後ろを回って腓骨頸に接し、そこで浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれます。腓骨頸部では神経と骨の間に脂肪や筋がほとんどなく、皮下のすぐ下を骨に押し付けられるように走るため、ギプスやシャーレの縁、包帯の締めつけといった外側からの圧が加わると容易に麻痺が起こります。浅腓骨神経は足背の皮膚感覚を、深腓骨神経は前脛骨筋など足関節・足趾の背屈筋を支配しますので、圧迫が続けば足背のしびれに加えて背屈力が落ち、下垂足に進みます。しびれを訴えられたら固定を外して圧迫を取り除き、腓骨頭部に綿花などのパッドを当てて除圧したうえで巻き直します。同時に足関節・足趾の背屈力と足背の感覚を評価して記録し、改善しないときは速やかに医師へ紹介します。膝の固定では、装着時に腓骨頭部をあらかじめ保護しておくことが予防になります。

✓ 2. 正しい
腓骨頭
総腓骨神経は腓骨頭の後ろを回って腓骨頸に接し、皮下の浅い層を骨に沿って走ります。緩衝する軟部組織が乏しいため固定具の圧迫を受けやすく、その支配領域である足背にしびれが出ます。訴えと解剖が一致する唯一の部位で、これが答えです。
✗ 1. 誤り
鵞足
鵞足は膝の内側にある縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止部で、内側側副靱帯損傷では圧痛部位になりえます。しかしここに足背の感覚を担う神経は走っておらず、足背のしびれは説明できません。
✗ 3. 誤り
脛骨粗面
膝の前面にある膝蓋腱の付着部で、皮下に太い神経幹は走りません。圧迫されれば局所の痛みは出ますが、足背のしびれの原因にはなりません。
✗ 4. 誤り
大腿骨外側上顆
外側側副靱帯などが付く膝外側の骨隆起で、位置は腓骨頭より近位にあります。総腓骨神経が骨に接して圧迫を受けやすいのはここではなく、より遠位の腓骨頸部です。
ポイント
  • 足背のしびれ=浅腓骨神経領域の症状。上流にある総腓骨神経の圧迫をまず疑う。
  • 総腓骨神経は腓骨頭の後ろを回って腓骨頸に接し、皮下の浅い層を走るため圧迫に弱い。
  • 進行すると深腓骨神経も障害され、足関節・足趾の背屈力低下から下垂足に至る。
  • 対応は、固定を外して圧迫を除去し、腓骨頭部にパッドを当てて除圧したうえで巻き直す。背屈力と足背の感覚を記録し、改善しなければ医師へ紹介する。
  • 膝の固定では装着時から腓骨頭部を保護しておくことが予防になる。
比較表
部位位置そこにある主な構造足背のしびれとの関係
腓骨頭膝の外側・やや後方総腓骨神経(腓骨頸に接して走る)圧迫で浅腓骨神経領域=足背がしびれる
鵞足膝の内側縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止部関係しない
脛骨粗面膝の前面膝蓋腱の付着部関係しない
大腿骨外側上顆膝外側、腓骨頭より近位外側側副靱帯などの付着部神経の走行と外れる
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