学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §25 大腿部打撲・肉ばなれ、大腿四頭筋、ハムストリングスの診察 / QJ29A022

理由で解く 柔道整復師

QJ29A022 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問22
問題
ハムストリングス肉離れの好発部位はどれか。
選択肢
1 起始部
2 筋腹
3 筋腱移行部
4 停止部
解答
正解3(筋腱移行部)
解説

ハムストリングス肉離れが最も多く起こるのは筋腱移行部である。伸び方の違う筋と腱の境目に、ひずみが集中するためである。

ハムストリングスは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、大腿二頭筋短頭を除いていずれも坐骨結節から起こって膝をまたぐ二関節筋である。走行中、脚を前に振り出す遊脚後期には、股関節が屈曲位のまま膝が伸びていくため、ハムストリングスは引き伸ばされながらブレーキをかけることになる。このとき、よく伸びる筋線維と伸びにくい腱・腱膜の境界=筋腱移行部に力が集中し、そこで筋線維が断裂する。実際に最も多いのは大腿二頭筋長頭の近位筋腱移行部で、坐骨結節から数センチ遠位の大腿後外側に限局した圧痛や陥凹を触れる。損傷程度はⅠ度(わずかな筋線維の損傷)からⅢ度(腱・付着部の完全断裂)に分けられ、Ⅲ度や坐骨結節の裂離が疑われる場合は手術が検討されるため、圧痛の高さと陥凹の有無を必ず確かめて医療機関につなぐ判断材料とする。

✗ 1. 誤り
起始部
坐骨結節の付着部は強靱で、単独の肉離れの好発部位ではない。ただし骨端核が閉じていない成長期には、同じ力で付着部が骨ごと引き剥がされる坐骨結節裂離骨折が起こる点は区別して覚えておきたい。
✗ 2. 誤り
筋腹
筋腹の中央だけで断裂することは比較的少ない。筋腹に限局した損傷を認めるときは、外からの打撃による筋挫傷(打撲)の可能性を考える。
✓ 3. 正しい
筋腱移行部
硬さ(弾性)の異なる筋と腱がつながる境界で、伸張時に最もひずみが集中する。とくに大腿二頭筋長頭の近位筋腱移行部が好発部位である。
✗ 4. 誤り
停止部
脛骨・腓骨頭側の付着部。腱組織が強く、ここが単独で切れることは多くない。
ポイント
  • 肉離れの好発部位は筋腱移行部——性質の違う組織の境界に力が集中する。
  • ハムストリングス肉離れの最多は大腿二頭筋長頭の近位筋腱移行部。
  • 受傷場面は走行の遊脚後期(股関節屈曲位+膝伸展)での遠心性収縮。
  • 成長期の同じ機転では坐骨結節裂離骨折が起こりうる。圧痛が坐骨結節そのものにあれば要注意。
  • 圧痛点・陥凹・抵抗下の膝屈曲痛・伸張痛を組み合わせて重症度を評価し、Ⅲ度が疑われれば医師に紹介する。
比較表
程度組織の状態おもな所見対応の目安
Ⅰ度筋線維のごく一部の損傷圧痛は軽度、伸張痛あり、歩行可能RICE後、早期から段階的運動
Ⅱ度筋線維の部分断裂明らかな圧痛・腫脹、陥凹を触れることがある、跛行固定・免荷を経て段階的復帰
Ⅲ度腱・付着部を含む完全断裂強い陥凹、収縮力の消失、皮下出血斑医師へ紹介、手術が検討される
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