学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P122
理由で解く 柔道整復師
ランニング開始後に生じた膝外側の痛み。膝屈曲位で大腿骨外顆のやや近位を圧迫しながら伸展させると疼痛が再現される(グラスピングテスト陽性)——腸脛靱帯炎である。
腸脛靱帯は大腿筋膜張筋と大殿筋の一部を受けて大腿の外側を縦走し、脛骨外側のガーディ結節に付着する。膝を屈伸すると、およそ屈曲30度を境に腸脛靱帯が大腿骨外側上顆の前後を行き来するため、走行距離が増えるとこの部で摩擦が繰り返され、靱帯と滑液包に炎症を生じる。ランニングを始めたばかり、距離や頻度を急に増やした、下り坂や硬い路面を走る、О脚や回内足、股関節外転筋の筋力不足といった条件が重なると発症しやすい。ここで膝蓋跳動が陰性という所見が効いてくる。関節内に水腫がないということは、半月板損傷や靱帯損傷、関節内の炎症といった関節内病変が考えにくく、痛みの本体が関節の外——ここでは大腿骨外側上顆の上を通る腸脛靱帯——にあることを支持する。対応は、まず走行量を落として外側上顆部の炎症を鎮め(アイシング、局所の安静)、次に大腿筋膜張筋・大殿筋・腸脛靱帯のストレッチと股関節外転筋の強化を行い、シューズの摩耗や路面・走行フォームの見直しへ進める。痛みが引いてから距離を段階的に戻すところまでを指導に含める。
| 疾患 | 圧痛部位 | 誘発される動作・テスト |
|---|---|---|
| 腸脛靱帯炎 | 大腿骨外側上顆部(膝外側) | 外側上顆を圧迫しながらの膝伸展、下り坂の走行 |
| 鵞足炎 | 脛骨近位内側(関節裂隙より遠位) | 膝屈曲の抵抗運動、階段昇降 |
| 膝蓋下脂肪体炎 | 膝蓋腱の両脇・膝蓋骨下方 | 膝の過伸展、長時間の立位 |
| 大腿四頭筋腱炎 | 膝蓋骨上縁 | 膝伸展の抵抗運動、しゃがみ込み |
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