学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P110
理由で解く 柔道整復師

13歳が肘伸展位で手をつき、肘関節内側に限局した腫脹・皮下出血斑・圧痛。上腕骨内側上顆骨折であり、内側上顆のすぐ後ろを尺骨神経が走るため、続発症の筆頭は尺骨神経麻痺である。
内側上顆は前腕屈筋・回内筋群の共同起始部で、成長期にはまだ骨端核として本体との結合が弱い。肘伸展位で手をつくと肘に外反力が加わり、同時に屈筋・回内筋群が引き伸ばされて強く牽引するため、内側上顆が裂離する。この骨折が神経障害と直結するのは解剖の位置関係による。内側上顆の後面には尺骨神経溝という浅い溝があり、尺骨神経は骨に直接接してここを通り、そのまま前腕へ入る。したがって骨片の転位、血腫、腫脹による圧迫、まれに骨片の関節内嵌入によって、受傷直後から神経が障害されうる。尺骨神経麻痺が起これば小指と環指尺側の知覚障害、骨間筋・母指内転筋の筋力低下が現れる。母指内転筋の麻痺は、紙を母指と示指で挟ませて術者が引き抜こうとすると確かめられる。内転筋が働かないぶんを長母指屈筋が代償するため、母指のIP関節が屈曲して紙を押さえにいく——これがフローマン(Froment)徴候陽性である。観察点は「つまめない」ことではなく「母指IP関節が曲がる」ことにあり、ここを押さえておかないと実際の陽性所見を見落とす。さらに進行すれば骨間筋の萎縮によって鷲手変形となる。初診時に手指の知覚と巧緻運動を確認して記録に残し、固定後も経過ごとに再確認する。転位が大きい例や神経症状がある例は手術適応となるので、速やかに医師の診察へつなぐ。
| 骨折 | 受傷機転 | 腫脹・圧痛の部位 | 代表的な続発症 |
|---|---|---|---|
| 上腕骨内側上顆骨折 | 肘伸展位で手をつき外反+屈筋群の牽引 | 肘関節内側に限局 | 尺骨神経麻痺、骨片の関節内嵌入 |
| 上腕骨外顆骨折 | 手をついて内反力/外反力 | 肘関節外側 | 偽関節、外反肘、遅発性尺骨神経麻痺 |
| 上腕骨顆上骨折(伸展型) | 肘伸展位で手をつく | 肘全体(三角関係は保たれる) | 内反肘、フォルクマン拘縮、正中・橈骨神経麻痺 |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。