学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ28P090

理由で解く 柔道整復師

QJ28P090 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問90
問題
ベネット (Bennett)骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 第1中手指節関節の脱臼骨折である。
2 遠位骨片は橈側に転位する。
3 外観は内転屈曲変形を呈する。
4 母指の内外転運動が不能である。
解答
正解1(第1中手指節関節の脱臼骨折である。)
解説

誤っているのは1です。ベネット骨折は第1手根中手(CM)関節の脱臼骨折で、中手指節(MP)関節ではありません。

ベネット骨折は、母指に軸圧と内転が強制されて第1中手骨基部の掌尺側が三角形に割れる関節内脱臼骨折です。掌尺側の小骨片は前斜靱帯によって大菱形骨側に残り、中手骨本体は長母指外転筋に引かれて橈側・背側・近位へずれます。「基部の骨折」=手根側との関節が壊れる、と結びつけて理解すると1の誤りが見抜けます。関節面が壊れるため整復位の保持が難しく、母指の対立・つまみ動作の障害を残しやすい骨折です。

✓ 1. これが誤り(答え)
第1中手指節関節の脱臼骨折である。
障害されるのは第1手根中手(CM)関節、すなわち大菱形骨と第1中手骨基部の関節です。MP関節は無傷。骨折部位が「中手骨基部」=近位端なのだから、関与する関節も近位(手根側)である、と位置関係で押さえます。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
遠位骨片は橈側に転位する。
掌尺側の小骨片は靱帯に固定されて所定の位置に残り、長母指外転筋に引かれた中手骨本体(遠位骨片)が橈側・背側・近位へ転位します。牽引する筋の走行を思い出せば転位方向が導けます。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
外観は内転屈曲変形を呈する。
母指内転筋の作用と中手骨の転位により母指は内転・屈曲位をとり、CM関節部は背橈側に突出して見えます。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
母指の内外転運動が不能である。
母指の内外転はCM関節(大菱形骨と第1中手骨基部の関節)で行われる運動そのものです。その関節面が破綻し疼痛も強いため、内転・外転ともに行えなくなります。

対応としては、整復後に母指を外転・対立位で固定して骨片を寄せた位置を保ち、再転位しやすい骨折であることを前提に早期の画像確認を医師に依頼します。

ポイント
  • ベネット骨折=第1中手骨基部の関節内脱臼骨折。関与するのはCM関節(大菱形骨との関節)。
  • 掌尺側の小骨片は靱帯で残り、中手骨本体が長母指外転筋に引かれて橈側・背側・近位へ転位する。
  • 外観は母指の内転・屈曲変形、CM関節部の背橈側突出。
  • 母指の内外転はCM関節が担う運動なので、この関節が壊れると内外転が行えない。
  • 整復は容易でも保持が難しい=再転位しやすい。固定肢位と経過観察を丁寧に。
比較表
骨折名部位関節要点
ベネット骨折第1中手骨基部(掌尺側の三角骨片)CM関節の脱臼骨折遠位骨片が橈側・背側・近位へ転位。再転位しやすい
ローランド骨折第1中手骨基部CM関節(Y・T字型の粉砕)ベネットより粉砕が強く整復困難
ボクサー骨折第5中手骨頸部MP関節側(頸部)拳で殴打。骨頭が掌側に屈曲転位
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