学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ28P086

理由で解く 柔道整復師

QJ28P086 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問86
問題
鎖骨骨折で保存療法が最適となるものはどれか。
選択肢
1 烏口鎖骨靱帯の断裂したもの
2 楔状骨片の直立したもの
3 粉砕骨折のあるもの
4 小児で上方凸変形のあるもの
解答
正解4(小児で上方凸変形のあるもの)
解説

小児の鎖骨骨折は、厚く強靭な骨膜と旺盛なリモデリングによって上方凸の変形が矯正されていくため、保存療法が最適な選択になります。

鎖骨骨折で保存療法を選べるかどうかは、整復位を保てるか、そして残った変形が機能障害につながらないかで決まります。小児は骨膜が厚く強靭で骨片を筒のように包み込むため転位が進みにくく、仮骨形成も旺盛です。さらに成長に伴うリモデリングが働くので、上方凸の角状変形が残っても時間とともに整えられていきます。これに対し、烏口鎖骨靱帯が断裂したものは近位骨片を下方につなぎとめる支えを失い、転位が大きく不安定になります。鋭い楔状骨片が直立したものは、皮膚を内側から突き上げて開放骨折に転じる危険があり、そのままの固定は適しません。粉砕骨折は骨片間の接触が乏しく、整復してもその位置を維持できません。これら3つはいずれも観血療法が選ばれることが多く、医師の診断を仰ぐのが適切な対応です。保存療法を行う場合も、上肢の血流と神経症状、皮膚の状態を確認しながら経過をみます。

✓ 4. 正しい
小児で上方凸変形のあるもの
厚い骨膜が骨片を包んで転位の進行を抑え、旺盛な仮骨形成と成長に伴うリモデリングで角状変形が矯正されていきます。保存療法が最も適した状況です。
✗ 1. 誤り
烏口鎖骨靱帯の断裂したもの
烏口鎖骨靱帯は近位骨片を下方につなぎとめる支えです。これを失うと転位が大きく不安定になり、整復位を保てないため観血療法が選ばれることが多くなります。
✗ 2. 誤り
楔状骨片の直立したもの
鋭い骨片が皮膚を内側から突き上げ、開放骨折に転じる危険があります。皮膚の色調・緊張を確認し、医師の診断につなぎます。
✗ 3. 誤り
粉砕骨折のあるもの
骨片が多く互いの接触が乏しいため、整復しても位置を維持できません。安定性が得られないので観血療法の適応となることが多くなります。
ポイント
  • 小児の鎖骨骨折は厚い骨膜と旺盛なリモデリングにより、上方凸の変形が残っても保存療法でよい。
  • 保存療法の可否は「整復位を保てるか」「残る変形が機能障害になるか」で判断する。
  • 烏口鎖骨靱帯断裂=近位骨片の支えを失って不安定。観血療法が選ばれやすい。
  • 楔状骨片の直立=皮膚穿破(開放骨折化)の危険。皮膚の色調・緊張を確認して医師へ。
  • 粉砕骨折=骨片間の接触が乏しく整復位を維持できない。
比較表
状態選ばれやすい治療理由
小児で上方凸変形保存療法厚い骨膜と旺盛なリモデリングで矯正される
烏口鎖骨靱帯の断裂観血療法近位骨片を保持する支えを失い不安定
楔状骨片の直立観血療法皮膚を突き上げ開放骨折化する危険
粉砕骨折観血療法骨片間の接触が乏しく整復位を保持できない
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