学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ27P080

理由で解く 柔道整復師

QJ27P080 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問80
問題
手舟状骨骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 手関節背屈橈屈時に運動痛がある。
2 関節内骨折はまれである。
3 近位3分の1の骨折は壊死が生じやすい。
4 スナッフボックスの圧痛がある。
解答
正解2(関節内骨折はまれである。)
解説

この設問は「誤っているもの」を選ぶ問題である。手舟状骨は表面の大部分が関節軟骨に覆われており、その骨折の多くは関節内骨折になる。したがって「関節内骨折はまれである」という記述が誤りで、これが答えとなる。

舟状骨は近位手根列と遠位手根列にまたがって斜めに位置し、周囲は橈骨・月状骨・有頭骨・大小菱形骨と関節面を形成するため、表面の約8割が関節軟骨で占められる。栄養血管は遠位背側の稜から入って近位へ向かう逆行性の血行であり、骨折線が近位になるほど近位骨片が阻血に陥りやすく、偽関節や無腐性壊死を起こす。さらに関節内骨折であるため骨膜性仮骨がほとんど期待できず、癒合には長い固定期間を要する。手関節背屈を強制する転倒で受傷し、初期にはエックス線で骨折線が写らないことも多いので、スナッフボックスの圧痛と背屈・橈屈時痛があれば骨折に準じて固定し、医師の画像評価(後日の再撮影やMRI・CT)につなぐという判断が重要である。

✓ 2. これが答え(誤っている記述)
関節内骨折はまれである。
舟状骨は表面の約8割が関節軟骨に覆われ、腰部骨折をはじめ骨折の大半が関節内骨折となる。まれどころか原則である。関節内骨折であることが、骨膜性仮骨が形成されにくく癒合が遅れる理由にもなっている。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
手関節背屈橈屈時に運動痛がある。
背屈・橈屈は舟状骨に圧縮と剪断の力を加える方向であり、骨折部に運動痛が誘発される。受傷機転そのものが手関節背屈強制であることとも一致する。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
近位3分の1の骨折は壊死が生じやすい。
栄養血管は遠位背側から入って近位へ逆行性に走るため、骨折線が近位にあるほど近位骨片への血行が絶たれる。結果として偽関節・無腐性壊死の頻度が高くなる。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
スナッフボックスの圧痛がある。
解剖学的嗅ぎタバコ入れ(長母指外転筋腱・短母指伸筋腱と長母指伸筋腱に囲まれた陥凹)の底に舟状骨があり、ここの圧痛は舟状骨骨折を強く示唆する代表的所見である。
ポイント
  • 設問は「誤っているもの」を選ぶ形式。正しい記述を消していく読み方をする。
  • 舟状骨は表面の約8割が関節軟骨。骨折の大半が関節内骨折で、骨膜性仮骨が乏しく癒合が遅い。
  • 血行は遠位背側から近位へ向かう逆行性。近位1/3の骨折は偽関節・無腐性壊死を起こしやすい。
  • 受傷機転は手関節背屈強制。スナッフボックスの圧痛、背屈・橈屈時痛が手がかり。
  • 初回エックス線で写らないことがあるため、所見があれば骨折に準じて固定し、医師の再評価につなぐ。
比較表
骨折部位血行癒合の見通し
近位1/3近位骨片が阻血に陥りやすい偽関節・無腐性壊死の頻度が高い
中央(腰部)比較的保たれるが不安定最も頻度が高い。長期固定を要する
遠位1/3(結節部)栄養血管の進入側で良好癒合しやすい
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