学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §19 主要な疾患 神経系疾患 / QJ28P042

理由で解く 柔道整復師

QJ28P042 一般臨床医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問42
問題
筋力低下が数日から数週間で進行するのはどれか。
選択肢
1 ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群
2 ハンチントン(Huntington)病
3 メニエール(Meniere)病
4 レヴィ (Lewy) 小体病
解答
正解1(ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群)
解説

正解は1。ギラン・バレー症候群は先行感染の1〜3週後に発症し、数日から数週で筋力低下が進んでピークに達する急性〜亜急性の末梢神経障害です。神経疾患は「症状の中身」に加えて「進行の速さ」で見分けます。

神経疾患を鑑別するとき、時間経過は強力な手がかりになります。突然(分〜時間単位)なら脳血管障害、数日〜数週なら炎症・免疫性の病態、月〜年単位なら変性疾患、というのが大まかな枠組みです。ギラン・バレー症候群は、カンピロバクターなどによる下痢や上気道炎のあと、自分の抗体が末梢神経の髄鞘などを攻撃して起こる自己免疫性の疾患で、両下肢から始まって上へ広がる左右対称性の弛緩性運動麻痺と腱反射の消失が特徴です。多くは発症から4週以内に症状がピークに達し、その後回復に向かいます。髄液では細胞数が増えずに蛋白だけが上がる蛋白細胞解離がみられます。重症例では呼吸筋麻痺や自律神経障害を伴うため入院管理が必要で、免疫グロブリン大量静注療法や血漿交換が行われます。他の3つは筋力低下が主症状ではなく、経過も年単位あるいは発作性です。急速に手足の力が入らなくなる訴えに接したら、その場で経過をよく聴き取り、速やかに医療機関の受診につなげます。

✓ 1. 正しい
ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群
先行する感染から1〜3週後に発症し、下肢から上行する左右対称性の弛緩性麻痺が数日〜数週で進行して、多くは4週以内にピークに達します。腱反射の消失、しびれなどの感覚症状、顔面神経麻痺や眼球運動障害を伴うこともあります。設問の「数日から数週間で進行する筋力低下」にそのまま当てはまります。
✗ 2. 誤り
ハンチントン(Huntington)病
常染色体顕性(優性)遺伝の神経変性疾患で、中年期に発症し、舞踏運動(不随意に手足がおどるように動く)、性格変化などの精神症状、認知症が年単位でゆっくり進行します。主体は不随意運動であって筋力低下ではなく、進行も数日〜数週という速さではありません。
✗ 3. 誤り
メニエール(Meniere)病
内耳の内リンパ水腫による疾患で、回転性めまい発作の反復、変動する感音難聴、耳鳴、耳閉感が主症状です。発作は数十分から数時間で治まり、四肢の筋力低下は生じません。ふらつきを「力が入らない」と訴える人もいるため、聴覚症状を伴うかどうかを確認すると区別できます。
✗ 4. 誤り
レヴィ (Lewy) 小体病
レヴィ小体が大脳皮質などに広がる神経変性疾患で、具体的な内容の幻視、日によって差の大きい認知機能の変動、パーキンソニズム(固縮・寡動・振戦)、レム睡眠行動異常症が特徴です。経過は年単位で緩徐に進行し、数日〜数週で進む筋力低下という設問の条件には当てはまりません。
ポイント
  • 神経疾患は進行の速さで分ける。突然=血管障害、数日〜数週=炎症・免疫性、年単位=変性疾患。
  • ギラン・バレー症候群=先行感染の1〜3週後、下肢から上行する左右対称性の弛緩性麻痺腱反射消失
  • 髄液の蛋白細胞解離が診断の手がかり。治療は免疫グロブリン大量静注療法・血漿交換。
  • 重症例では呼吸筋麻痺や自律神経障害を伴う。急速な四肢脱力は緊急性が高い。
  • ハンチントン病=舞踏運動、レヴィ小体病=幻視とパーキンソニズム、メニエール病=めまいと難聴。いずれも筋力低下が主役ではない。
比較表
疾患主な症状進行のはやさ
ギラン・バレー症候群先行感染後、下肢から上行する左右対称性の弛緩性麻痺、腱反射消失、感覚異常数日〜4週でピーク(急性〜亜急性)、その後回復へ
ハンチントン病舞踏運動、性格変化などの精神症状、認知症年単位で緩徐に進行
メニエール病回転性めまい発作の反復、変動する感音難聴、耳鳴、耳閉感発作は数十分〜数時間。筋力低下は生じない
レヴィ小体病具体的な幻視、認知機能の変動、パーキンソニズム、レム睡眠行動異常症年単位で緩徐に進行
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