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理由で解く 柔道整復師

QJ28P026 一般臨床医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問26
問題
失調性歩行の症状はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 足もとを目で確かめながら歩く。
2 足を足底側に屈曲したまま歩く。
3 ちょこちょこと小刻みに歩く。
4 動揺しながら歩く。
解答
正解1(足もとを目で確かめながら歩く。)、4(動揺しながら歩く。)
解説

失調性歩行の基本形は、両足を開いて左右に動揺する酩酊様歩行です。深部感覚障害によるものでは、足の位置を視覚で補うため足もとを見つめながら歩きます。したがって1と4の2つが該当します。

失調性歩行は運動失調(協調運動の障害)による歩行で、小脳性・感覚(脊髄)性・前庭性に分けられます。小脳性では支持基底面を広げるために開脚し、酔ったように左右へ揺れながら歩きます。感覚性は脊髄後索や末梢神経の障害で位置覚が入らないために起こり、足がどこにあるか分からないので足もとを目で確認し、踵を床に叩きつけるように歩きます(踵打歩行)。視覚で代償しているため、閉眼や暗所では著しく悪化し、ロンベルグ徴候が陽性になります。なお、名前の似た「動揺性歩行(アヒル歩行・waddling gait)」は近位筋の筋力低下で骨盤が左右に落ちる別の歩行であり、本問の「動揺しながら歩く」(失調による体幹の左右動揺)とは成り立ちが違います。歩行の型は病変部位を推定する手がかりになるので、他の異常歩行と一緒に整理して覚えると得点源になります。

✓ 1. 正しい
足もとを目で確かめながら歩く。
深部感覚(位置覚)障害による感覚性失調の特徴です。入ってこない位置情報を視覚で補っているため、閉眼させたり暗所にしたりすると途端にふらつきが強くなります。
✓ 4. 正しい
動揺しながら歩く。
開脚して体幹が左右に揺れる酩酊様歩行で、小脳性失調の典型像です。方向転換や狭い場所での歩行で不安定さが目立ちます。ここでいう「動揺」は協調障害による体幹の動揺であり、近位筋筋力低下で骨盤が左右に振れる「動揺性歩行(アヒル歩行)」とは別概念です。
✗ 2. 誤り
足を足底側に屈曲したまま歩く。
足関節が底屈位に固定された尖足の状態で、下垂足でみられる鶏歩や痙性麻痺による歩行に関係します。協調の障害ではないため失調性歩行には当たりません。
✗ 3. 誤り
ちょこちょこと小刻みに歩く。
歩幅が狭く足が床から離れにくい小刻み歩行で、パーキンソン病など錐体外路障害の特徴です。前傾姿勢・すくみ足・突進現象を伴います。
ポイント
  • 失調性歩行の共通像=開脚し、動揺しながら歩く(酩酊様歩行)。
  • 小脳性:閉眼でもあまり悪化しない(ロンベルグ徴候陰性)。四肢の協調運動障害・企図振戦を伴う。
  • 感覚(脊髄)性:足もとを見て歩き、踵を打ちつける。閉眼・暗所で著明に悪化=ロンベルグ徴候陽性
  • 前庭性:一側へ偏って倒れそうになる。めまい・眼振を伴う。
  • 「動揺しながら歩く」(失調性=体幹が左右に動揺)と「動揺性歩行=アヒル歩行」(近位筋筋力低下で骨盤が左右に揺れる)は別物。名前が似ているだけで機序も病変部位も異なる。
  • 小刻み歩行(パーキンソン病)、鶏歩(腓骨神経麻痺)、分回し歩行(痙性片麻痺)と混同しない。
比較表
歩行の型特徴代表的な病態
失調性(小脳性)開脚し、体幹が左右に動揺する酩酊様歩行(=本問の「動揺しながら歩く」)小脳障害
失調性(感覚性)足もとを見て踵を打ちつける。閉眼で悪化脊髄後索障害・末梢神経障害
小刻み歩行歩幅が狭く前傾。すくみ足・突進現象パーキンソン病
鶏歩下垂足のため膝を高く上げ、つま先から着地総腓骨神経麻痺
分回し歩行患側下肢を外側へ弧を描いて振り出す痙性片麻痺(脳卒中後)
動揺性歩行(アヒル歩行)骨盤が左右に大きく揺れる(waddling gait)。失調性の体幹動揺とは別概念なので区別する近位筋の筋力低下(筋ジストロフィーなど)
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