学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ28P017

理由で解く 柔道整復師

QJ28P017 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問17
問題
脳梗塞患者の頭部CT 横断像(別冊 No. 1)を別に示す。この患者の症状はどれか。
図
選択肢
1 右片麻痺
2 左片麻痺
3 四肢麻痺
4 対麻痺
解答
正解2(左片麻痺)
解説

運動の指令を伝える皮質脊髄路(錐体路)は延髄で左右が交叉するため、片側の病変では反対側に麻痺が出ます。したがって左片麻痺をきたすのは患者の右側(頭部CT横断像では画像の左側に描出される側)の病変であり、本問の正答は2です。

まずCTの向きを押さえます。頭部CTの横断像は足元から見上げた向きで表示されるため、画像の左側が患者の右半球、画像の右側が患者の左半球です。左右を取り違えると答えが真逆になるので、ここを機械的に確認する習慣をつけてください。次に経路です。皮質脊髄路は大脳皮質の運動野から放線冠・内包後脚・大脳脚・橋を下り、延髄の錐体で大部分(約8割)が交叉して、反対側の脊髄側索を下行します。したがって錐体交叉より上位で右側が障害されれば、対側である左の上下肢に痙性麻痺が生じます。頻度として圧倒的に多いのは中大脳動脈領域の梗塞で、右の内包後脚や放線冠が巻き込まれた例が左片麻痺の典型です。CT上、梗塞巣は周囲の脳実質より暗い低吸収域として写ります。発症直後は変化が乏しく、レンズ核の輪郭が不明瞭になる、島皮質の皮髄境界がぼやける、脳溝が消える、といった早期虚血性変化を探すことになり、時間が経つほど低吸収域は明瞭になります(出血なら逆に白い高吸収域)。

✓ 2. 正しい
左片麻痺
錐体路は延髄で交叉するため、左片麻痺をきたすのは右側の病変です。CT横断像では左右が反転して表示されるので、右側の病巣は画像の左側に描出されます。部位としては右大脳半球の内包後脚・放線冠など中大脳動脈領域の梗塞が典型例です(右の橋・中脳といった脳幹病変でも、錐体交叉より上位であれば同じく左片麻痺になります)。右半球損傷では左片麻痺に加えて左半側空間無視や病態失認を伴うことがあり、転倒や見落としへの配慮が必要です。
✗ 1. 誤り
右片麻痺
右片麻痺が出るのは側の病変で、本問の正答(左片麻痺)とは病巣側が左右逆になります。なお左半球は多くの人で言語優位半球なので、左半球梗塞では右片麻痺に失語を伴うことが多く、この組み合わせも一緒に覚えておくと役立ちます。
✗ 3. 誤り
四肢麻痺
四肢麻痺は左右両方の錐体路が同時に障害されて初めて生じます。頸髄の損傷や、脳幹(橋・延髄)の両側性病変が代表例です。一側性の脳梗塞では反対側の半身しか障害されないため、四肢麻痺にはなりません。
✗ 4. 誤り
対麻痺
対麻痺は両下肢だけの麻痺で、胸髄・腰髄レベルの脊髄障害(脊髄損傷、脊髄腫瘍、横断性脊髄炎など)が典型です。上肢が保たれて両下肢だけが同時に麻痺するという分布は、一側性の脳病変では説明がつきません。
ポイント
  • 一側の病変 → 対側の片麻痺。皮質脊髄路は延髄錐体で交叉するため、病巣と麻痺は左右が逆になる。左片麻痺なら病巣は錐体交叉より上位の右側。
  • 頭部CT・MRIの横断像は左右が反転して表示される(画像の左=患者の右)。読影の第一歩として必ず確認する。
  • CTでは梗塞=低吸収(黒)、出血=高吸収(白)。急性期CTの最大の役割は出血の除外で、超急性期の梗塞は早期虚血性変化(レンズ核不明瞭化、島皮質の不鮮明化、脳溝消失)を探す。
  • 麻痺の型から病巣を逆算する:片麻痺=対側の大脳〜脳幹、対麻痺=胸腰髄、四肢麻痺=頸髄または両側性病変、単麻痺=限局した皮質・末梢神経。
  • 右半球損傷では左片麻痺に半側空間無視を合併しやすい。左側の障害物・段差に気づけない前提で環境を整え、健側から声をかけて安全に離床を進める。
比較表
麻痺の型麻痺の分布代表的な病巣
片麻痺一側の上下肢対側の大脳半球(内包・放線冠・皮質)、対側の脳幹
対麻痺両下肢胸髄・腰髄の障害(脊髄損傷、腫瘍など)
四肢麻痺両上下肢頸髄損傷、脳幹の両側性病変
単麻痺一肢のみ限局した大脳皮質病変、末梢神経・神経叢障害
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