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理由で解く 柔道整復師

QJ28P009 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問9
問題
インフルエンザウイルスで誤っているのはどれか。
選択肢
1 空気感染する。
2 気道感染症を引き起こす。
3 抗原性が容易に変化する。
4 パンデミックの原因となる。
解答
正解1(空気感染する。)
解説

インフルエンザウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染であり、空気(飛沫核)感染はしない。したがって誤っているのは1である。

飛沫感染は、咳やくしゃみで飛ぶ直径5μm以上の水分を含んだ粒子によるもので、およそ1〜2mの範囲で成立し、サージカルマスクで防げる。これに対し空気感染(飛沫核感染)は、水分が蒸発した5μm未満の粒子が空中を長時間漂って広範囲に伝播するもので、結核・麻疹・水痘の3つが代表であり、N95マスクと陰圧室が必要になる。この3つ以外は空気感染ではない、と割り切って覚えると判断が速い。インフルエンザウイルスはA・B・C型に分けられ、A型は表面のHA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)の抗原性が変化しやすい。毎年少しずつ変わる連続変異(antigenic drift)が季節性の流行を、遺伝子分節の交雑による大きな変化=不連続変異(antigenic shift)が世界的大流行を引き起こす。

✓ 1. 誤り(これが答え)
空気感染する。
主な感染経路は飛沫感染と接触感染である。空気感染するのは結核・麻疹・水痘の3つで、ここは確実に区別できるようにしておきたい。予防としては、咳エチケット、流水と石けんまたは擦式アルコール製剤による手指衛生、流行期の換気と環境整備、そしてワクチン接種を組み合わせる。
✗ 2. 正しい(答えではない)
気道感染症を引き起こす。
上気道・下気道の上皮細胞に感染し、突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、関節痛・筋肉痛といった全身症状に続いて咳・咽頭痛などの気道症状を示す。高齢者では二次性肺炎、小児ではインフルエンザ脳症の合併に注意する。
✗ 3. 正しい(答えではない)
抗原性が容易に変化する。
HAとNAの抗原性が変わりやすいため、一度かかっても再びかかり、ワクチン株も毎年見直す必要がある。小さな変化が連続変異、遺伝子分節の交雑による大きな変化が不連続変異である。
✗ 4. 正しい(答えではない)
パンデミックの原因となる。
A型の不連続変異により新型が出現すると、多くの人が免疫を持たないため世界的大流行となる。1918年のスペインインフルエンザ、1957年のアジア、1968年の香港、2009年のA(H1N1)pdm09が代表例であり、感染症法では新型インフルエンザ等感染症として位置づけられている。
ポイント
  • インフルエンザは飛沫感染+接触感染。空気感染ではない。
  • 空気(飛沫核)感染の代表は結核・麻疹・水痘の3つ。N95マスクと陰圧室が必要。
  • A型はHA・NAの抗原変異が起こりやすい。連続変異=季節性流行、不連続変異=パンデミック。
  • 予防は手指衛生・咳エチケット・換気・ワクチン接種の組合せ。
  • 合併症は高齢者の肺炎、小児のインフルエンザ脳症。
比較表
感染経路粒子代表的な疾患必要な防護
飛沫感染5μm以上、1〜2mで落下インフルエンザ、風疹、流行性耳下腺炎、百日咳サージカルマスク
空気感染(飛沫核感染)5μm未満、長時間浮遊結核、麻疹、水痘N95マスク、陰圧室
接触感染直接・間接の接触ノロウイルス、疥癬、MRSA手指衛生、手袋・ガウン
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