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理由で解く 柔道整復師

QJ28P006 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問6
問題
食中毒で正しいのはどれか。
選択肢
1 キノコは食中毒の原因となる。
2 近年の我が国では黄色ブドウ球菌による件数が最も多い。
3 ボツリヌス菌は感染型の食中毒を起こす。
4 食品を低温で保存すれば細菌は死滅する。
解答
正解1(キノコは食中毒の原因となる。)
解説

食中毒の基本を問う設問。毒キノコによる食中毒は自然毒の代表で毎年発生しており、正しいのは1である。

食中毒は原因により細菌性、ウイルス性、寄生虫、自然毒、化学物質などに分けられる。細菌性はさらに、食品中で増えた菌が産生した毒素を食べて起こる毒素型(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌の嘔吐型)と、菌そのものを取り込んで腸管内で増殖・侵入して起こる感染型(サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌)に分かれる。毒素型は毒素を食べるので潜伏期が短く、感染型は菌が増える時間が必要なので潜伏期が長い、と結び付けると整理しやすい。出題時点で最新の統計(2018年)では、事件数の第1位は寄生虫のアニサキス、次いでカンピロバクター、ノロウイルスで、患者数ではノロウイルスが最多であった。自然毒ではキノコ(ツキヨタケ、クサウラベニタケなど)とフグ(テトロドトキシン)が代表である。

✓ 1. 正しい
キノコは食中毒の原因となる。
植物性自然毒による食中毒の代表で、秋に多発する。ツキヨタケ(ヒラタケやシイタケと間違えやすい)やクサウラベニタケによる嘔吐・下痢が多く、ドクツルタケのように肝障害から死に至るものもある。「確実に判別できないキノコは採らない・食べない・人に渡さない」を予防の基本として指導する。
✗ 2. 誤り
近年の我が国では黄色ブドウ球菌による件数が最も多い。
出題時点で最新の統計(2018年)では、事件数の1位はアニサキス、次いでカンピロバクター、ノロウイルスであり、黄色ブドウ球菌は上位ではない。黄色ブドウ球菌は化膿巣のある手で握ったおにぎりなどが原因となり、産生するエンテロトキシンが耐熱性のため加熱しても発症する点が要点である。手に傷や化膿巣があるときは調理を避け、やむを得ない場合は手袋を用いる。
✗ 3. 誤り
ボツリヌス菌は感染型の食中毒を起こす。
ボツリヌス菌は、缶詰・真空パック・いずしなど酸素の乏しい食品中で産生された神経毒素を摂取して発症する毒素型である。眼瞼下垂・複視・嚥下障害から左右対称の弛緩性麻痺、呼吸筋麻痺へ進む。毒素は加熱で失活するが芽胞は熱に強い。1歳未満の乳児にはハチミツを与えないことも併せて覚える(乳児ボツリヌス症)。
✗ 4. 誤り
食品を低温で保存すれば細菌は死滅する。
低温は増殖を遅らせるだけで、菌は死滅しない。リステリアやエルシニアは冷蔵温度でも増殖する。食中毒予防の三原則「つけない(清潔)・増やさない(迅速・冷却)・やっつける(加熱)」のうち、低温保存は2番目に当たる。加熱は中心部を75℃で1分以上(ノロウイルス対策では85〜90℃で90秒以上)が目安である。
ポイント
  • 毒素型は黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌・セレウス菌(嘔吐型)。感染型はサルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・腸管出血性大腸菌。
  • 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンは耐熱性。ボツリヌス毒素は加熱で失活するが芽胞は耐熱性。
  • 出題時点(2018年)の事件数1位はアニサキス、患者数1位はノロウイルス。
  • 自然毒はキノコ、フグ(テトロドトキシン)、ジャガイモの芽(ソラニン)、貝毒が代表。
  • 予防三原則は「つけない・増やさない・やっつける」。低温保存は「増やさない」に当たる。
比較表
毒素型感染型
発症の仕組み食品中で産生された毒素を摂取菌が腸管内で増殖・侵入
潜伏期短い(数時間)長い(半日〜数日)
代表菌黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌
加熱の効果毒素によっては加熱しても残る(黄色ブドウ球菌)加熱で菌が死滅すれば発症を防げる
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