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理由で解く 柔道整復師

QJ28P005 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問5
問題
介護予防対策で有用性が低いのはどれか。
選択肢
1 がん対策
2 スタンダード・プリコーションの実施
3 生活習慣病の予防
4 ロコモティブシンドロームの予防
解答
正解2(スタンダード・プリコーションの実施)
解説

介護予防は、要介護状態になること・悪化することを防いで健康寿命を延ばす取り組みである。スタンダード・プリコーション(標準予防策)は医療・介護現場での感染対策の原則であり、要介護化そのものを減らす対策ではないため、有用性が低いのは2となる。

介護が必要になる主な原因は、認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱(フレイル)、骨折・転倒、関節疾患である。そのため介護予防の柱は、生活習慣病を管理して脳血管疾患を防ぐこと、運動器の機能を保って転倒・骨折を防ぐこと(ロコモティブシンドローム対策)、そして栄養・口腔機能・社会参加を維持することになる。一方、標準予防策は「すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷皮膚は感染性があるものとして扱う」という感染対策の原則であり、施術所でも手指衛生やリネン・タオルの管理として必ず実践すべき重要な内容である。ただし目的は感染の伝播を断つことであって、介護予防の枠組みとは位置づけが異なる、というのが本問の狙いである。

✓ 2. 有用性が低い(これが答え)
スタンダード・プリコーションの実施
感染経路を断つための標準予防策であり、対象は感染症の伝播で、要介護状態の発生を直接減らす取り組みではない。とはいえ施術者としては手指衛生・手袋・リネンの適切な取り扱いを日常的に徹底し、感染症が疑われる場面では接触・飛沫・空気予防策を上乗せする姿勢が求められる。
✗ 1. 有用性がある(答えではない)
がん対策
がんは死因の第1位であるうえ、治療に伴う体力低下や廃用が生活機能の低下につながる。検診による早期発見と禁煙・節酒などの一次予防は、健康寿命の延伸を通じて介護予防に寄与する。
✗ 3. 有用性がある(答えではない)
生活習慣病の予防
高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理は脳血管疾患と心疾患を減らす。脳血管疾患は要介護となる原因の上位であり、その予防はそのまま介護予防の中心となる。
✗ 4. 有用性がある(答えではない)
ロコモティブシンドロームの予防
ロコモティブシンドロームは運動器の障害により移動機能が低下した状態で、進行すると要介護に直結する。片脚立ちやスクワットなどの運動指導、住環境の段差解消といった転倒対策は、柔道整復師が最も関与しやすい介護予防の場面である。
ポイント
  • 介護予防=要介護状態の発生・悪化を防ぎ、健康寿命を延ばす取り組み。
  • 要介護の主な原因は認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患。
  • ロコモティブシンドローム/サルコペニア/フレイルは介護予防の中心概念。
  • 標準予防策は感染対策の原則。介護予防とは目的が異なるが、現場では必ず実施する。
  • 柔道整復師が担いやすいのは運動器の機能維持と転倒予防の指導。
比較表
用語意味
ロコモティブシンドローム運動器の障害により移動機能が低下した状態
サルコペニア加齢に伴う骨格筋量と筋力の低下
フレイル加齢により心身の予備能力が低下し要介護に傾きやすい状態(可逆性あり)
廃用症候群安静・不活動が続くことで生じる心身機能の低下
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