学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ28P001

理由で解く 柔道整復師

QJ28P001 衛生学・公衆衛生学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問1
問題
癌とそのリスク因子の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 胃癌-塩・塩蔵物
2 大腸癌-肥満
3 乳癌-ヒトパピローマウイルス
4 食道癌-喫煙
解答
正解3(乳癌-ヒトパピローマウイルス)
解説

癌とリスク因子の対応を問う設問。ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌の原因ウイルスであり、乳癌のリスク因子ではないため、組合せとして誤っているのは3である。

癌のリスク因子は「その臓器が日常的に何にさらされているか」で整理すると覚えやすい。胃は食べたものが長くとどまるため高濃度の塩分とヘリコバクター・ピロリが効き、食道は飲食物と煙が通り抜ける管なので喫煙と飲酒が効き、大腸は栄養過多と腸内環境を反映して肥満・運動不足・赤肉/加工肉が効く。一方、ウイルスや細菌が原因となる癌は「病原体と臓器」の組合せがほぼ決まっており、HPV→子宮頸癌・中咽頭癌、B型/C型肝炎ウイルス→肝細胞癌、ヘリコバクター・ピロリ→胃癌、EBウイルス→上咽頭癌、HTLV-1→成人T細胞白血病、と一対一で暗記してしまうのが得策である。乳癌は感染とは無関係で、エストロゲンに曝される期間の長さ(初経が早い・閉経が遅い・未産・初産年齢が高い)と閉経後の肥満、飲酒、家族歴が主なリスク因子となる。

✓ 3. 誤っている組合せ(これが答え)
乳癌-ヒトパピローマウイルス
HPVは子宮頸癌とその前癌病変、中咽頭癌、肛門癌などの原因ウイルスであり、乳癌との因果関係は確立していない。乳癌で押さえるのは女性ホルモンの曝露期間と閉経後肥満、飲酒、家族歴(BRCA1/2)である。HPVを見たら子宮頸癌と結び付けて覚え、予防としてはHPVワクチンと子宮頸がん検診(20歳以上・2年に1回の細胞診)を挙げられるようにしておきたい。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
胃癌-塩・塩蔵物
高濃度の塩分と塩蔵食品は胃粘膜を直接傷つけ、萎縮性胃炎を進めてピロリ菌の発癌作用を後押しする。日本人に胃癌が多かった背景として食塩摂取量の多さが挙げられ、減塩は胃癌予防と高血圧対策を同時に果たす。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
大腸癌-肥満
肥満はインスリン抵抗性とIGF-1、慢性炎症を介して大腸癌のリスクを高める。運動不足・飲酒・赤肉や加工肉の多量摂取も同じ方向に働くため、体重管理と身体活動の確保が大腸癌予防の中心になる。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
食道癌-喫煙
食道は煙と飲食物が通る通路であり、喫煙は扁平上皮癌の確立したリスク因子である。飲酒(体内で生じるアセトアルデヒド)と重なると危険度が相乗的に上がるため、禁煙と節酒をセットで勧める。
ポイント
  • HPV=子宮頸癌・中咽頭癌。乳癌ではない。病原体と臓器の組合せは一対一で暗記する。
  • 乳癌の主なリスクはエストロゲン曝露期間(早い初経・遅い閉経・未産・高い初産年齢)と閉経後肥満、飲酒、家族歴。
  • 胃癌=塩分+ピロリ菌、食道癌=喫煙+飲酒、大腸癌=肥満・運動不足・赤肉/加工肉。
  • 「誤っている組合せ」を選ぶ設問なので、確実に正しい3つを消していく解き方が速い。
比較表
病原体主に関連する癌
ヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌
B型・C型肝炎ウイルス肝細胞癌
ヘリコバクター・ピロリ胃癌、胃MALTリンパ腫
EBウイルス上咽頭癌、Burkittリンパ腫
HTLV-1成人T細胞白血病・リンパ腫
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