学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ28A122

理由で解く 柔道整復師

QJ28A122 病理学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問122
問題
塞栓とその原因の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨髄塞栓-心臓マッサージ
2 空気塞栓潜函病
3 脂肪塞栓-外傷
4 腫瘍塞栓白血病
解答
正解4(腫瘍塞栓白血病)
解説

腫瘍塞栓は、固形腫瘍の細胞塊がかたまりのまま血管内腔をふさぐ現象を指します。白血病は腫瘍細胞がもともと血液中を流れる造血器腫瘍であり、腫瘍塞栓の原因としては対応しません。

塞栓症は「血管を詰まらせた栓子が何でできているか」で分類し、それぞれ典型的な発生状況とセットで覚えます。血栓塞栓(下肢深部静脈血栓による肺血栓塞栓症など)が最多ですが、国家試験ではむしろ血栓以外の栓子が問われます。脂肪塞栓は長管骨骨折や広範な軟部組織の挫滅で脂肪滴が静脈内に入るもの、骨髄塞栓は胸骨圧迫などで肋骨・胸骨が折れて骨髄組織が血流に入るものです。空気(ガス)塞栓は、中心静脈カテーテル操作や開心術のように外気が血管内へ入る場合と、潜函病(減圧症)のように血液や組織に溶けていた窒素が急な減圧で気泡化する場合があり、いずれも気体が栓子となります。これに羊水塞栓(分娩時)、細菌塞栓(感染性心内膜炎の疣贅)を加えれば主要な型は網羅できます。本問は誤っている組合せを選ぶ否定形の設問なので、状況と栓子の対応がずれている肢を探します。

✓ 4. これが答え(誤っている組合せ)
腫瘍塞栓白血病
腫瘍塞栓は、腎細胞癌や肝細胞癌のように固形腫瘍が静脈内へ進展し、細胞塊となって血管を閉塞する現象です。白血病は骨髄由来の腫瘍細胞が血液中に増加する造血器腫瘍で、細胞は個々に循環しており、腫瘍塊による塞栓という形はとりません。よって原因としての対応が誤っており、これが答えになります。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
骨髄塞栓-心臓マッサージ
胸骨圧迫(心臓マッサージ)では肋骨や胸骨の骨折を生じることがあり、骨髄の脂肪組織や造血組織が破れた静脈から血中に入って肺の血管に詰まります。骨髄塞栓の原因として正しい組合せです。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
空気塞栓潜函病
潜函病(減圧症)では、高圧下で血液や組織に溶け込んでいた窒素が急な減圧で気泡となり、血管を閉塞します。気体による塞栓=空気(ガス)塞栓であり、原因との対応は正しい組合せです。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
脂肪塞栓-外傷
長管骨の骨折や広範な軟部組織の挫滅では、骨髄や皮下の脂肪滴が損傷した静脈から血中に入り、肺や脳の血管を閉塞します(脂肪塞栓症候群)。外傷は脂肪塞栓の代表的原因であり、正しい組合せです。
ポイント
  • 塞栓は栓子の正体で分類する:血栓・脂肪・骨髄・空気(ガス)・羊水・腫瘍・細菌。
  • 脂肪塞栓=長管骨骨折・軟部組織挫滅、骨髄塞栓=胸骨圧迫などによる肋骨・胸骨骨折。
  • 空気(ガス)塞栓は機序が2通り。外気が血管内へ入る(中心静脈カテーテル操作・開心術)場合と、溶けていた窒素が気泡化する(潜函病=減圧症)場合がある。
  • 腫瘍塞栓は固形腫瘍が血管内に進展して起こる。白血病は細胞が個々に循環する造血器腫瘍で該当しない。
  • 否定形の設問では、正しい組合せを1つずつ声に出して確認し、残った1つを答えとして選ぶ。
比較表
塞栓の種類代表的な原因・状況
血栓塞栓下肢深部静脈血栓(肺血栓塞栓症)、心房細動による左房内血栓
脂肪塞栓長管骨骨折、広範な軟部組織の挫滅
骨髄塞栓胸骨圧迫(心臓マッサージ)による肋骨・胸骨骨折
空気(ガス)塞栓外気の流入:中心静脈カテーテル操作、開心術/溶存窒素の気泡化:潜函病(減圧症)
羊水塞栓分娩時
細菌塞栓感染性心内膜炎の疣贅
腫瘍塞栓固形腫瘍の血管内進展(腎細胞癌・肝細胞癌など)
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