学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §5 姿勢 / QJ28A112

理由で解く 柔道整復師

QJ28A112 運動学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問112
問題
姿勢の安定性で正しいのはどれか。
選択肢
1 座位よりも立位の方が良い。
2 分節構造よりも単一構造の方が良い。
3 重心線の位置が支持基底の辺縁に近い方が良い。
4 上位分節の重心線が下位分節との接触面外にある方が良い。
解答
正解2(分節構造よりも単一構造の方が良い。)
解説

姿勢の安定性は、支持基底面の広さ・重心の高さ・重心線の位置・質量・分節の数で決まります。分節が少ない単一構造ほど安定するので、正解は2。

物体の安定性を高める条件は、(1)支持基底面が広い、(2)重心が低い、(3)重心線が支持基底面の中央に近い、(4)質量が大きい、(5)床との摩擦が大きい、(6)分節が少ない、の6つに整理できます。人体は多数の骨と関節からなる分節構造であり、各関節が「崩れうる点」として働くところが力学的な弱点です。1本の棒(単一構造)であれば重心線が支持基底面の内側にあるかぎり倒れませんが、分節構造では上位分節の重心線が下位分節との接触面から外れた時点で、その関節に倒れ込むモーメントが発生します。直立姿勢を保つのに抗重力筋の持続的な活動が欠かせないのはこのためです。実際に姿勢を安定させたいときは、足を開いて支持基底面を広げ、腰を落として重心を下げ、体幹を一本の柱のようにまとめて分節を減らす、と考えると整理しやすくなります。

✓ 2. 正しい
分節構造よりも単一構造の方が良い。
分節が増えるほど関節ごとに崩れる自由度が増え、それを支えるための筋活動が必要になります。分節が少ない単一構造のほうが安定性は高く、記述は正しいです。
✗ 1. 誤り
座位よりも立位の方が良い。
立位は支持基底面が両足とその間に限られて狭く、重心も高いため不安定です。座位のほうが支持基底面が広く重心も低いので、安定性は座位が上回ります。
✗ 3. 誤り
重心線の位置が支持基底の辺縁に近い方が良い。
辺縁に近いほど、わずかな動揺で重心線が支持基底面の外へ出て倒れてしまいます。中央に近いほど余裕(安定域)が大きく、安定します。
✗ 4. 誤り
上位分節の重心線が下位分節との接触面外にある方が良い。
接触面の外に出ると、その関節に倒れ込むモーメントが発生し、筋で抑え込まなければ姿勢が崩れます。接触面の内側に収まっているほうが安定します。
ポイント
  • 安定性を高める条件は、支持基底面が広い/重心が低い/重心線が中央寄り/質量が大きい/摩擦が大きい/分節が少ないの6つ。
  • 人体は分節構造のため、各関節が崩れうる点になる。直立保持に抗重力筋の持続的活動が必要な理由がここにある。
  • 上位分節の重心線が下位分節との接触面内に収まっていれば安定、外れれば倒れ込むモーメントが生じる。
  • 安定性の順序の目安:臥位>座位>立位>片脚立位。支持基底面と重心の高さで説明できる。
  • 実践では「足を開く・腰を落とす・体幹をまとめる」で3条件を同時に満たせる。
比較表
因子安定性が高い安定性が低い
支持基底面広い(座位・開脚立位)狭い(立位・片脚立位)
重心の高さ低い高い
重心線の位置支持基底面の中央に近い辺縁に近い/面外
質量大きい小さい
摩擦大きい小さい(滑る床)
構造単一構造(分節が少ない)分節構造(分節が多い)
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