学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ28A111

理由で解く 柔道整復師

QJ28A111 運動学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問111
問題
前腕の回内・回外運動で誤っているのはどれか。
選択肢
1 尺骨が回旋する。
2 腕橈骨筋は両方向の運動に作用する。
3 肘関節 90度屈曲位では両方向に 90度可動する。
4 肘関節伸展位では肩関節の運動が加わる。
解答
正解1(尺骨が回旋する。)
解説

前腕の回内・回外で回旋するのは橈骨であり、尺骨は原則としてその場にとどまります。したがって誤っている記述は1です。

前腕の回内・回外は、近位橈尺関節(車軸関節)と遠位橈尺関節が同時に働く複合運動です。運動軸は橈骨頭の中心と尺骨頭を結ぶ線で、橈骨がこの軸のまわりを、尺骨をまたぐように回旋します。回外位では橈骨と尺骨は平行に並び、回内位では橈骨が尺骨の前を斜めに交差します。尺骨は腕尺関節で上腕骨滑車としっかりかみ合った蝶番関節を作っているため、回旋の主体にはなりません。関節可動域の測定は、肘関節90度屈曲・前腕中間位を0度とし、回内・回外ともに90度が正常参考可動域とされます。肘を伸ばしたまま行うと肩関節の内旋・外旋が代償として加わり、見かけ上の可動域が大きく出てしまいます。測定時に肘を体幹につけて90度に曲げるのは、まさにこの代償を防ぐためです。この一連の理屈をつなげて理解しておけば、選択肢2〜4がなぜ正しいのかも同時に説明できます。

✓ 1. これが誤り=正解
尺骨が回旋する。
回旋するのは橈骨です。尺骨は腕尺関節で上腕骨に固定され、その周囲を橈骨が回ります。運動の主体を取り違えた記述なので、これが設問の求める「誤っているもの」=正解となります。
✗ 2. 記述は正しい(答えではない)
腕橈骨筋は両方向の運動に作用する。
腕橈骨筋は前腕を中間位に戻す方向に働くため、回内位からは回外方向へ、回外位からは回内方向へと、両方向に作用しえます。記述は正しく、設問の条件には当てはまりません。
✗ 3. 記述は正しい(答えではない)
肘関節 90度屈曲位では両方向に 90度可動する。
前腕中間位を0度として、回内90度・回外90度が正常参考可動域です。記述は正しいため、答えにはなりません。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
肘関節伸展位では肩関節の運動が加わる。
肘伸展位で手掌の向きを変えると、肩関節の内旋・外旋が代償として加わります。可動域測定を肘90度屈曲位で行う根拠そのもので、記述は正しく答えにはなりません。
ポイント
  • 前腕回内・回外で回るのは橈骨。尺骨は腕尺関節で固定され、回旋の主体にならない。
  • 関与するのは近位橈尺関節+遠位橈尺関節の複合運動。回外位では両骨が平行、回内位では橈骨が尺骨を交差する。
  • 正常参考可動域は、肘90度屈曲・前腕中間位を0度として回内90度・回外90度
  • 肘伸展位では肩の内旋・外旋が代償に入るため、測定は肘を体幹につけて90度屈曲位で行う。
  • 腕橈骨筋は中間位に戻す方向に働くので、開始肢位によって回内にも回外にも作用する。
比較表
運動主動作筋支配神経
回外回外筋橈骨神経
回外上腕二頭筋(肘屈曲位で強く働く)筋皮神経
回内円回内筋正中神経
回内方形回内筋正中神経(前骨間神経)
両方向(中間位へ戻す)腕橈骨筋橈骨神経
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