学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ28A104

理由で解く 柔道整復師

QJ28A104 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問104
問題
近くの対象を見るときの眼の調節で正しいのはどれか。
選択肢
1 水晶体が薄くなる。
2 水晶体が前方に移動する。
3 毛様体筋が収縮する。
4 毛様体小帯が緊張する。
解答
正解3(毛様体筋が収縮する。)
解説

近くを見るときは、動眼神経の副交感成分によって毛様体筋が収縮する。その結果、毛様体小帯がゆるみ、水晶体が厚くなって屈折力が増す。

調節の経路は、Edinger‐Westphal核 → 動眼神経 → 毛様体神経節 → 毛様体筋という副交感性の流れである。毛様体筋(輪走筋)が収縮すると、毛様体はリング状に内側へせり出す。すると水晶体を外周から引っ張っていた毛様体小帯(Zinn小帯・チン小帯)の張力が下がり、張力から解放された水晶体は自らの弾性で前後に厚くなる。曲率が増して屈折力が上がるため、近くの物体の像が網膜上で結ばれる。遠くを見るときはこの逆で、毛様体筋が弛緩し小帯が緊張して水晶体は薄く引き伸ばされる。なお近見時には調節・縮瞳・輻輳の三つが同時に起こり、これを近見反応(近見反射)と呼ぶ。順序を「毛様体筋の収縮が出発点、小帯の弛緩と水晶体の膨隆はその結果」と押さえると、選択肢の真偽を一本の流れで判定できる。

✓ 3. 正しい
毛様体筋が収縮する。
動眼神経の副交感線維によって毛様体筋が収縮することが調節の出発点である。これに続いて小帯の弛緩、水晶体の膨隆、屈折力の増大が起こる。
✗ 1. 誤り
水晶体が薄くなる。
水晶体が薄くなるのは遠くを見るときである。近見では水晶体は厚くなり、曲率が増して屈折力が上がる。
✗ 2. 誤り
水晶体が前方に移動する。
水晶体を前後に移動させて焦点を合わせるのは魚類などにみられる様式である。ヒトの眼では水晶体の厚み(曲率)を変えることで調節する。
✗ 4. 誤り
毛様体小帯が緊張する。
小帯が緊張するのは遠見時である。近見では毛様体筋の収縮によって毛様体が内側へせり出すため、小帯はむしろ弛緩する。
ポイント
  • 近見:毛様体筋 収縮 → 毛様体小帯 弛緩 → 水晶体 厚くなる → 屈折力 増大。
  • 遠見:毛様体筋 弛緩 → 毛様体小帯 緊張 → 水晶体 薄くなる → 屈折力 減少。
  • 調節を担うのは動眼神経の副交感線維(EW核 → 毛様体神経節 → 毛様体筋)。
  • 近見反応(近見反射)の三徴は、調節(水晶体の膨隆)・縮瞳・輻輳。
  • 加齢で水晶体の弾性が低下すると厚くなりにくくなり、近方視が困難になる(老視)。
  • 「筋が縮むと小帯もゆるむ」という一見逆に感じる関係は、毛様体が輪として内側へせり出す形をイメージして納得しておく。
比較表
項目近くを見るとき(近見)遠くを見るとき(遠見)
毛様体筋収縮弛緩
毛様体小帯(Zinn小帯)弛緩緊張
水晶体の厚み・曲率厚い・曲率大薄い・曲率小
屈折力増大減少
瞳孔・眼位縮瞳・輻輳を伴う散大傾向・開散
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