学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ28A093

理由で解く 柔道整復師

QJ28A093 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問93
問題
ACTH分泌を抑制するのはどれか。
選択肢
1 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
2 コルチゾール
3 ストレス負荷
4 睡眠からの覚醒
解答
正解2(コルチゾール)
解説

副腎皮質から分泌されるコルチゾールが、視床下部と下垂体前葉に戻って作用し、CRHとACTHの分泌を抑える。これが負のフィードバックである。

視床下部−下垂体前葉−副腎皮質は一本の軸(HPA軸)をなす。視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が出て、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を促し、ACTHが副腎皮質束状層に働いてコルチゾールを分泌させる。末端で増えたコルチゾールは上流の視床下部・下垂体前葉に作用して分泌を抑え、系全体が過剰に走らないよう制御する。これは甲状腺軸(TRH−TSH−甲状腺ホルモン)や性腺軸(GnRH−LH/FSH−性ホルモン)にも共通する内分泌の基本設計である。ACTHとコルチゾールは早朝に高く深夜に低い日内変動を示し、ストレスがかかると増える。臨床的には、ステロイド薬を長期に使うと負のフィードバックで下垂体・副腎の働きが落ち、自己判断で急に中止すると副腎不全を起こしうる。ステロイド内服中の患者に出会ったら、服薬状況を確認し中止は必ず処方医の指示に従うよう伝えることが大切である。

✓ 2. 正しい
コルチゾール
HPA軸の最終産物であり、視床下部(CRH)と下垂体前葉(ACTH)の両方に負のフィードバックをかけて分泌を抑制する。クッシング症候群のうち副腎腫瘍によるものでACTHが低値となるのは、この抑制が働くためである。
✗ 1. 誤り
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
CRHのことで、ACTH分泌を促進する側である。名称に「放出ホルモン」とあれば下位のホルモン分泌を促す、と読めば取り違えを防げる。
✗ 3. 誤り
ストレス負荷
外傷、手術、感染、低血糖、精神的緊張などのストレスはCRH→ACTH→コルチゾールの分泌をいずれも増加させる。抑制ではなく促進の代表例である。
✗ 4. 誤り
睡眠からの覚醒
ACTHとコルチゾールは早朝の覚醒前後に日内変動の頂点をとる。覚醒に向けて分泌は高まるので、抑制する因子にはあたらない。
ポイント
  • HPA軸:視床下部CRH→下垂体前葉ACTH→副腎皮質コルチゾール。
  • コルチゾールは視床下部と下垂体前葉の両方に負のフィードバックをかける。
  • ACTH・コルチゾールは早朝高値、深夜低値の日内変動を示す。
  • ストレスはHPA軸を活性化し、コルチゾール分泌を増やす。
  • ステロイド薬の長期使用では副腎が抑制される。中止は必ず処方医の指示に従う。
比較表
因子ACTH分泌への影響機序
CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)促進視床下部から下垂体前葉へ作用
ストレス(外傷・手術・低血糖など)促進視床下部を介したCRH分泌の増加
覚醒(早朝)促進日内変動の頂点
コルチゾール抑制視床下部・下垂体前葉への負のフィードバック
ステロイド薬(外因性)抑制コルチゾールと同様の負のフィードバック
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