学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ28A094

理由で解く 柔道整復師

QJ28A094 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問94
問題
バゾプレッシン分泌を抑制するのはどれか。
選択肢
1 血圧低下
2 血糖値低下
3 循環血液量減少
4 体液浸透圧低下
解答
正解4(体液浸透圧低下)
解説

バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)は体液が濃くなったとき、あるいは循環血液量・血圧が下がったときに分泌される。したがって体液浸透圧の低下は分泌を抑制する。

バゾプレッシンは視床下部の視索上核・室傍核で合成され、軸索を通って下垂体後葉から血中へ放出される。最も鋭敏な刺激は血漿浸透圧の上昇で、視床下部の浸透圧受容器がわずかな変化を感知する。もう一つの経路が容量・圧の低下で、心房や大静脈の低圧受容器、頸動脈洞・大動脈弓の圧受容器からの入力が減ると分泌が増える。標的は腎臓の集合管で、V₂受容体を介してアクアポリン2を管腔膜へ挿入させ、水の再吸収を高めて尿を濃縮する(同時に血管平滑筋のV₁受容体を介した血管収縮作用ももつ)。逆に大量に水を飲んで体液が薄まると、浸透圧受容器が刺激されなくなって分泌が止まり、希釈された尿が多量に排泄されて余分な水が捨てられる。分泌が不足すると尿崩症で多尿・多飲となり、逆に不適切に分泌が続くとSIADHとなって低ナトリウム血症を起こす。「濃くなったら水を守る、薄まったら水を捨てる」という向きで理解しておくと、選択肢の判断が速くなる。

✓ 4. 正しい
体液浸透圧低下
体液が薄まっている=水が余っている状態なので、水を保持する必要がない。浸透圧受容器からの入力が減り、バゾプレッシン分泌は抑制され、薄い尿が多量に出て余分な水が排泄される。
✗ 1. 誤り
血圧低下
頸動脈洞・大動脈弓の圧受容器からの入力が減ることで分泌は促進される。水を保持し、さらにV₁受容体を介した血管収縮によって血圧を支えようとする反応である。
✗ 2. 誤り
血糖値低下
低血糖に対して動員されるのはグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンといったインスリン拮抗ホルモンである。バゾプレッシン分泌の主要な調節因子ではなく、抑制因子でもない。
✗ 3. 誤り
循環血液量減少
出血や脱水で循環血液量が減ると、低圧受容器を介して分泌は促進される。水を再吸収して体液量を守る方向であり、抑制とは逆である。
ポイント
  • バゾプレッシン(抗利尿ホルモン、ADH)は視床下部の視索上核・室傍核で作られ、下垂体後葉から放出される。
  • 分泌促進:血漿浸透圧の上昇(最も鋭敏)、循環血液量・血圧の低下、疼痛・ストレス。
  • 分泌抑制:体液浸透圧の低下(水分過剰)、循環血液量の増加。
  • 作用:集合管でアクアポリン2を介して水の再吸収を促し、尿を濃縮する。
  • 分泌不足=尿崩症(多尿・多飲)、過剰=SIADH(低ナトリウム血症)。
比較表
状況ADH分泌体の反応
脱水・発汗(浸透圧上昇)促進水の再吸収が増え、濃い尿が少量出る
出血・循環血液量減少促進水を保持し、血管収縮で血圧を支える
大量の飲水(浸透圧低下)抑制薄い尿が多量に出て余分な水を排泄
循環血液量の増加抑制水の再吸収が減る
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