学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ28A073

理由で解く 柔道整復師

QJ28A073 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問73
問題
ウェルニッケ野はどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解4
解説

ウェルニッケ野(感覚性言語野)は優位半球の上側頭回の後部にあります。正答は4(d)です。

ウェルニッケ野はブロードマンの22野を中心とする領域で、大脳半球の外側面では、外側溝(シルビウス裂)の下側をたどった側頭葉のうしろ寄り、一次聴覚野(横側頭回)のすぐ後方、頭頂葉の縁上回・角回の前方にあたります。聞いた言葉や読んだ文字を意味として受け取る場で、障害されると発話は流暢なのに内容が意味をなさず、話しかけられた内容の理解も落ちる感覚性(ウェルニッケ)失語となります。これに対して運動性言語野(ブローカ野、44・45野)は下前頭回の後部にあり、障害されると理解は比較的保たれる一方で発話が非流暢・努力性になります。両者は弓状束で連絡し、言語機能は約9割の人で左半球が優位です。外側面の図で位置を判定するときは、まず中心溝と外側溝という2本の大きな溝を見つけ、「外側溝より下・側頭葉の後方寄り」がウェルニッケ野、「外側溝より上・前頭葉の後下部」がブローカ野、と位置関係で決めるのが確実です。

✗ 1. 誤り
a
この解説の作成時点で設問の図が手元になく、a が図中のどの部位を指しているかは特定できないため、位置の断定は行いません(正答表記が d であることから、a はウェルニッケ野ではないと判断しています)。なお大脳外側面の図で紛らわしい指示点になりやすいのは、外側溝より上に位置する中心前回(一次運動野、4野)と中心後回(一次体性感覚野、3・1・2野)です。まず中心溝と外側溝を見つけ、外側溝より上か下かで振り分ければ、これらは早い段階で除外できます。
✗ 2. 誤り
b
b についても図が確認できていないため、指している部位は特定しません。この形式で最も間違えやすい候補は、同じ言語野であるブローカ野(運動性言語野、下前頭回の後部、44・45野)です。ブローカ野は外側溝より上の前頭葉にあって発話の出力を担うので、外側溝より下の側頭葉にあって言葉の理解を担うウェルニッケ野とは、葉も働きも異なります。
✗ 3. 誤り
c
c も同様に、図が確認できていないため部位を特定しません。ウェルニッケ野の周囲には、前方に一次聴覚野(横側頭回、41野)、後方に縁上回(40野)と角回(39野)が並び、いずれも聴覚・言語に関わるため紛らわしい指示点になります。ウェルニッケ野は「一次聴覚野の後方、かつ縁上回・角回の前方」に挟まれた上側頭回の後部(22野)である、という位置関係で切り分けます。
✓ 4. 正しい
d
正答の d はウェルニッケ野、すなわち上側頭回の後部(22野)を指します。外側溝の下方で側頭葉の後方寄り、一次聴覚野の後方かつ縁上回・角回の前方、という位置が判定の決め手です。
ポイント
  • ウェルニッケ野=上側頭回後部(22野)=感覚性言語野。「理解する側」と覚える。
  • ブローカ野=下前頭回後部(44・45野)=運動性言語野。「話す側」。両者は弓状束で連絡する。
  • ウェルニッケ失語は流暢だが意味不明で理解不良、ブローカ失語は非流暢だが理解は比較的良好。伝導失語(弓状束の障害)は復唱障害が目立つ。
  • 言語野は約9割の人で左半球(優位半球)にある。右利きではほぼ左と考えてよい。
  • 外側面の図問題は、先に中心溝と外側溝を見つけて葉を確定させてから、目的の回を探す手順を習慣にする。
比較表
ウェルニッケ野ブローカ野
位置上側頭回の後部(側頭葉)下前頭回の後部(前頭葉)
ブロードマン領野22野44・45野
外側溝との関係外側溝より下外側溝より上
役割言葉の理解(感覚性言語野)発話の産生(運動性言語野)
障害時の発話流暢だが意味をなさない非流暢・努力性
障害時の理解不良比較的良好
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