学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §4 消化器系 / QJ28A064

理由で解く 柔道整復師

QJ28A064 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問64
問題
胃潰瘍や胃癌の好発部位はどれか。
選択肢
1 噴門部
2 角切痕周囲
3 大弯側
4 幽門部
解答
正解2(角切痕周囲)
解説

胃潰瘍・胃癌がもっとも集中するのは胃角(角切痕)付近の小弯側です。正答は2です。

胃を前から見たとき、右側の短い縁が小弯、左側の長い縁が大弯で、小弯の途中でくの字に折れる角が角切痕(胃角)です。飲み込まれた食物や胃液は小弯に沿った通り道(胃道)を流れるため、この付近は機械的にも化学的にも刺激を受け続けます。胃粘膜の腺は、噴門部の噴門腺、胃底部・胃体部の胃底腺(固有胃腺)、幽門部の幽門腺という3つの領域に分かれます。胃底腺領域と幽門腺領域の境界は胃を一周する帯として走りますが、高さは一様ではなく、小弯側では胃角付近まで口側に上がり、大弯側では幽門寄りに下がります。そのため Helicobacter pylori 感染に伴う萎縮性胃炎や腸上皮化生は小弯側から先に及びます。「刺激が集中する」「腺の境界で粘膜が変性しやすい」という2つの条件が重なるため、潰瘍も癌もこの部位に好発します。部位を丸暗記するのではなく、胃道の走行と腺境界の位置を図で確認しながら押さえてください。

✓ 2. 正しい
角切痕周囲
胃角(角切痕)周囲の小弯側は、胃液・食物の通り道(胃道)であること、胃底腺領域と幽門腺領域の境界がもっとも口側に上がる場所で萎縮性変化が進みやすいことが重なり、潰瘍・癌ともに最も高頻度にみられる部位です。
✗ 1. 誤り
噴門部
噴門部は食道から胃へ移行する部分で、粘膜には噴門腺が分布する領域です(胃底腺領域ではありません)。胃内容の主な流路である胃道の軸からも外れます。病変が生じないわけではありませんが、好発部位として挙げる部位ではありません。噴門部は「食道との移行部で、粘膜の腺は噴門腺」と、位置と腺の種類をセットで整理しておきましょう。
✗ 3. 誤り
大弯側
大弯側は粘膜面積こそ大きいものの、胃液・食物の主な通り道(胃道)から外れます。胃底腺領域と幽門腺領域の境界は胃を一周するので大弯側も通りますが、小弯側では胃角付近まで口側に上がるのに対し、大弯側ではより幽門寄りを走ります。萎縮性変化が早く広く及ぶのは小弯側であり、潰瘍・癌の頻度も大弯側は小弯側より低くなります。「潰瘍・癌は小弯、大弯は少ない」と対にして覚えてください。
✗ 4. 誤り
幽門部
幽門前庭部も病変ができやすい部位ではありますが、1つだけ選ぶ本問では、最も好発するのは胃角(角切痕)周囲の小弯側です。「幽門部も多いが、頂点は胃角小弯」と序列で整理すると迷いません。
ポイント
  • 胃潰瘍・胃癌の最好発部位は胃角(角切痕)周囲の小弯側
  • 小弯側は食物・胃液の通り道(胃道)にあたり、刺激を受けやすい。
  • 胃粘膜の腺は噴門腺・胃底腺(固有胃腺)・幽門腺の3領域。噴門部=噴門腺、胃底部・胃体部=胃底腺、幽門部=幽門腺。
  • 胃底腺領域と幽門腺領域の境界は胃を一周するが、小弯側では胃角付近まで口側に上がり、大弯側では幽門寄りを走る。萎縮性胃炎・腸上皮化生は小弯側から及ぶ。
  • 大弯側・噴門部の頻度は相対的に低い。幽門前庭部は次いで多い。
  • 胃の区分:噴門部・胃底部・胃体部・幽門部(幽門前庭+幽門管)。小弯には小網、大弯には大網が付く。
比較表
項目小弯側大弯側
短く、途中でくの字に折れる(角切痕)長く弧を描く
胃内容の流れ胃道として直接通過する滞留して撹拌される
胃底腺/幽門腺の境界境界が胃角付近まで口側に上がる(萎縮性変化が早く及ぶ)境界はより幽門寄りを通る(帯は胃を一周するので大弯側も通る)
潰瘍・癌の頻度高い(最好発)低い
付着する網小網(肝胃間膜)大網
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