学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ28A060

理由で解く 柔道整復師

QJ28A060 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問60
問題
矢印で示す動脈が栄養するのはどれか。
図
選択肢
1 視床
2 内包
3 後頭葉
4 延髄外側部
解答
正解4(延髄外側部)
解説

図の矢印は、椎骨動脈が脳底動脈に合流する直前で外側へ分かれる枝=後下小脳動脈(PICA)を指しています。この動脈が栄養するのは延髄外側部です。

脳の血管支配は、まず「前方循環=内頸動脈系」と「後方循環=椎骨脳底動脈系」の2つに大きく分けて考えると整理しやすくなります。前方循環は大脳半球の前2/3・基底核・内包を、後方循環は脳幹・小脳・後頭葉(視覚野)を担当します。図は脳底部の動脈を下面から見た模式図で、上方には前大脳動脈・中大脳動脈・後交通動脈がつくるウィリス動脈輪が、下方には正中を下行する脳底動脈と、その下端で左右に分かれる椎骨動脈が描かれています。矢印はその最下部、椎骨動脈から外側へ回り込む枝を指しており、これが後下小脳動脈です。後下小脳動脈は延髄の外側面を回り込んで小脳下面へ向かう途中で延髄外側部に枝を出します。ここが閉塞すると延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群)となり、同側の顔面の温痛覚障害・小脳失調・ホルネル徴候・嚥下障害/嗄声と、反対側の頸から下の温痛覚障害という「交代性の感覚障害」を示します。めまい・嚥下障害・構音障害などを訴える患者では、施術より先に脳血管障害の可能性を考えて医療機関へつなぐ判断が必要です。

✓ 4. 正しい
延髄外側部
矢印が指す後下小脳動脈(椎骨動脈から分岐し延髄外側を回る)の支配領域です。閉塞するとワレンベルグ症候群を生じます。
✗ 1. 誤り
視床
視床は後大脳動脈から出る視床穿通動脈・視床膝状体動脈などが栄養します。後下小脳動脈の支配領域ではありません。
✗ 2. 誤り
内包
内包は中大脳動脈の穿通枝(レンズ核線条体動脈)や前脈絡叢動脈が栄養します。ここが詰まるとラクナ梗塞による片麻痺を生じます。
✗ 3. 誤り
後頭葉
後頭葉は後大脳動脈の支配です。視覚野があるため、閉塞では同名半盲などの視野障害が生じます。
ポイント
  • まず前方循環(内頸動脈系)=大脳半球前2/3・内包・基底核後方循環(椎骨脳底動脈系)=脳幹・小脳・後頭葉で二分する。
  • 後下小脳動脈(PICA)は椎骨動脈から分岐し、延髄外側部と小脳下面を栄養する。図では脳底動脈へ合流する直前の椎骨動脈から出る枝。
  • PICA領域の梗塞=ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)。同側の顔面温痛覚障害・小脳失調・ホルネル徴候・嚥下障害+対側の頸以下の温痛覚障害。
  • 視床・後頭葉は後大脳動脈、内包は中大脳動脈の穿通枝。
  • めまい・嚥下障害・構音障害を訴える患者では脳血管障害を疑い、施術より医療機関への紹介を優先する。
比較表
部位栄養する動脈閉塞時の代表的症状
延髄外側部後下小脳動脈(PICA)ワレンベルグ症候群
視床後大脳動脈の穿通枝対側の感覚障害、視床痛
内包中大脳動脈の穿通枝、前脈絡叢動脈対側の片麻痺(ラクナ梗塞)
後頭葉後大脳動脈同名半盲などの視野障害
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