学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ28A055

理由で解く 柔道整復師

QJ28A055 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問55
問題
矢印で示す部位に付く筋を支配する神経はどれか。
図
選択肢
1 三叉神経
2 第6頸神経
3 顔面神経
4 副神経
解答
正解4(副神経)
解説

矢印は側頭骨の乳様突起の先端を指しています。ここに停止する代表的な筋は胸鎖乳突筋で、その運動を支配するのは副神経です。

図は下顎骨まで付いた頭蓋を側方から見た線画(頭蓋側面図)で、矢印は下から上へ向き、黒く塗られた楕円=外耳道のすぐ後下方で下方に丸くふくらむ隆起の先端に当たっています。位置は目印をたどれば確実に取れます。頬骨弓を後ろへたどると山形に盛り上がる下顎頭(下顎窩にはまっている)に行き当たり、そのすぐ後ろに黒い外耳道があります。外耳道の後下方で下方に丸くふくらむのが乳様突起、そのやや前内側(図では下顎枝と乳様突起の間)に針のように細く前下方へ垂れているのが茎状突起で、図でも太さと位置ではっきり描き分けられています。矢印が触れているのは細い針ではなく、太く丸い突起のほうです。乳様突起の外側面と上項線の外側部に停止するのが胸鎖乳突筋で、胸骨柄と鎖骨内側端から起こり、副神経の支配を受けます。副神経は延髄根と脊髄根からなり、脊髄根は第1〜5(6)頸髄の前角外側から出て大後頭孔から頭蓋内へ入り、頸静脈孔を通って外へ出て胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布します。なお乳様突起の内側面にある乳突切痕には顎二腹筋後腹(顔面神経支配)が付くので、「乳様突起の外側面=胸鎖乳突筋=副神経」と面まで指定して覚えると、選択肢3と確実に切り分けられます。

✗ 1. 誤り
三叉神経
運動線維は下顎神経を通り、咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)と顎舌骨筋・顎二腹筋前腹・鼓膜張筋・口蓋帆張筋を支配します。側頭筋は頬骨弓の内側を通って下顎骨の筋突起へ、咬筋は頬骨弓から下顎枝の外側面へ下りますが、いずれも矢印が指す乳様突起には付きません。
✗ 2. 誤り
第6頸神経
胸鎖乳突筋・僧帽筋に加わる頸神経はC2〜C4で、しかも主に知覚(固有感覚)です。第6頸神経は腕神経叢に入って上肢の筋へ向かうので、この2筋には運動・知覚とも関与しません。「頸神経が加わる=C2〜C4」と範囲まで押さえておきましょう。
✗ 3. 誤り
顔面神経
表情筋(前頭筋・眼輪筋・口輪筋・頬筋・広頸筋など)と茎突舌骨筋・顎二腹筋後腹・アブミ骨筋を支配します。このうち茎突舌骨筋が付くのは図で矢印の前内側に細い針状に描かれている茎状突起、顎二腹筋後腹が付くのは乳様突起の内側面の乳突切痕で、いずれも矢印が指す乳様突起の外側面・先端とは付着部が違います。矢印が当たっているのは細い針状の突起ではなく、太く丸い突起のほうです。
✓ 4. 正しい
副神経
胸鎖乳突筋と僧帽筋の運動を支配します。矢印が指す乳様突起は、その胸鎖乳突筋の停止部です。障害されると同側の肩が下がり、肩甲骨が外下方へずれて上肢の挙上(特に水平より上)がしにくくなります。
ポイント
  • 矢印の乳様突起=胸鎖乳突筋の停止部。支配神経は副神経。
  • 図での位置の取り方=頬骨弓→下顎頭(下顎窩)→黒い外耳道、その後下方の太く丸い突起が乳様突起。
  • 副神経が運動支配する骨格筋は胸鎖乳突筋と僧帽筋の2つだけ。
  • 副神経の脊髄根はC1〜C5(6)前角外側→大後頭孔→頭蓋内→頸静脈孔から出る。
  • 乳様突起の周りは紛らわしい。外側面=胸鎖乳突筋(副神経)、内側の乳突切痕=顎二腹筋後腹(顔面神経)、前内側の細い茎状突起=茎突舌骨筋(顔面神経)。太い突起か細い針かで見分ける。
  • 胸鎖乳突筋・僧帽筋に加わる頸神経はC2〜C4で主に知覚。C6は腕神経叢に入って上肢へ向かうので無関係。
  • 図つきの問題では、まず矢印の位置=どの骨のどの隆起かを言葉にしてから、そこに付く筋→神経の順にたどる。
比較表
神経支配する主な筋・枝の性質
三叉神経(下顎神経)咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹、鼓膜張筋
顔面神経表情筋(前頭筋・眼輪筋・口輪筋・頬筋・広頸筋)、茎突舌骨筋(茎状突起)、顎二腹筋後腹(乳突切痕=乳様突起の内側面)、アブミ骨筋
副神経胸鎖乳突筋(乳様突起の外側面+上項線外側部に停止)、僧帽筋の運動
頸神経ワナ(C1〜C3)舌骨下筋群(胸骨舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨甲状筋)。甲状舌骨筋はC1が舌下神経に伴走して支配
頸神経 C2〜C4胸鎖乳突筋・僧帽筋への知覚枝(固有感覚)。運動は担わない
第6頸神経(C6)腕神経叢を経て上肢の筋へ。胸鎖乳突筋・僧帽筋には関与しない
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