学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §2 医療過誤とリスクマネジメント / QJ28A041

理由で解く 柔道整復師

QJ28A041 必修問題

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問41
問題
医療におけるリスクマネジメントの概念で誤っているのはどれか。
選択肢
1 医療事故の防止
2 危機管理
3 医療に対する苦情対応
4 利益の誘導
解答
正解4(利益の誘導)
解説

医療におけるリスクマネジメントとは、事故を未然に防ぎ、起きてしまったときに被害を最小限に食い止め、患者・家族の不満に誠実に応える一連の営みを指します。営利目的で患者を誘導することはこの概念に含まれず、4が答えです。

リスクマネジメントは「事故が起こる前」「起こった瞬間」「起こった後」の三つの局面をひとつながりで考える枠組みです。起こる前はヒヤリ・ハット(インシデント)の報告を集めて危険の芽を摘み、起こった瞬間は被害の拡大を止める危機管理(クライシスマネジメント)で対応し、起こった後は事実の説明と苦情への対応によって信頼の回復を図ります。三つに共通する目的は患者の安全と施術所への信頼であって、収益ではありません。柔道整復師も施術所の管理者として、転倒・熱傷・固定による循環障害といった予測できるリスクを事前に洗い出し、手順書と記録の形で職員間に共有しておくことが求められます。

✓ 4. これが答え(リスクマネジメントの概念に含まれない)
利益の誘導
収益を増やす目的で必要のない施術や通院を勧めることは、リスクマネジメントの構成要素ではなく、むしろ回避すべきリスクそのものです。施術の要否と回数は症状と経過から判断し、その根拠を施術録に残す。これが患者にも施術所にも最も安全な進め方になります。
✗ 1. 答えではない(リスクマネジメントに含まれる)
医療事故の防止
事故の芽を事前に見つけて取り除くことがリスクマネジメントの出発点です。インシデント報告を個人の責任追及ではなく仕組みの改善に使う姿勢が、報告が集まる組織をつくります。
✗ 2. 答えではない(リスクマネジメントに含まれる)
危機管理
リスクマネジメントのうち、事故・災害・感染症が実際に発生したときに被害の拡大を最小限に抑える局面(クライシスマネジメント)にあたり、概念に含まれます。連絡系統と初動手順をあらかじめ決めておくことが実際の備えになります。
✗ 3. 答えではない(リスクマネジメントに含まれる)
医療に対する苦情対応
苦情は施術所の弱点を教えてくれる情報源です。受付窓口を決める、内容を記録する、再発防止策につなげる、の三点を仕組みとして持っておくと、事故化する前に対処できます。
ポイント
  • リスクマネジメント=事故の予防+発生時の危機管理(クライシスマネジメント)+苦情対応の総体
  • 危機管理はリスクマネジメント全体の言い換えではなく、発生後に被害拡大を抑える局面を指す
  • インシデント(ヒヤリ・ハット)は患者に害が及ばなかった事例、アクシデントは実際に害が生じた事例
  • 報告は個人の責任追及ではなく、仕組みを直すために集める
  • 苦情対応は初期対応が要。窓口・記録・再発防止策の三点を決めておく
  • 収益目的で受診や施術を誘導することは概念の外であり、それ自体が信用を損なうリスク
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