学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §28 膝関節半月板損傷の診察 / QJ28A027

理由で解く 柔道整復師

QJ28A027 必修問題

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問27
問題
急性期の半月板損傷でみられないのはどれか。
選択肢
1 腫脹
2 圧痛
3 不安定性
4 運動制限
解答
正解3(不安定性)
解説

半月板は関節面の適合性を高めて荷重を分散させる組織であり、関節の動揺性を制動しているのは靱帯である。したがって半月板単独損傷の急性期に不安定性はみられない。

急性期の半月板損傷では、断裂した部位に一致して関節裂隙に限局した圧痛が出る。関節内の出血や滑膜の反応で関節血腫・水腫が生じ、腫脹として現れる。疼痛による防御と、断裂片が関節面に嵌り込むロッキングによって、膝が最後まで伸びない・曲がらないという運動制限も典型的である。これに対し前後方向や内外反方向の動揺性は、十字靱帯や側副靱帯が破綻したときに生じるものである。なお、半月板損傷でも「膝が抜ける」という膝くずれ感を訴えることがあるが、これは疼痛による反射性の脱力であって、ストレステストで検者が確認する他覚的な動揺性とは別物である。実際に動揺性を認めた場合は靱帯の合併損傷を疑い、ラックマンテストやストレステストで評価して必要なら医師の診察につなげる。

✓ 3. これが答え(急性期の半月板損傷ではみられない)
不安定性
関節の動揺を制動するのは靱帯であり、半月板の役割ではない。半月板単独損傷では他覚的な動揺性は出ないため、これが設問の求めるものになる。
✗ 1. 答えではない(急性期にみられる)
腫 脹
関節内の出血や滑膜反応により関節血腫・水腫を生じ、膝蓋跳動を伴う腫脹として現れる。
✗ 2. 答えではない(急性期にみられる)
圧痛
断裂部に一致して関節裂隙に限局した圧痛を認める。圧痛点の位置は内側・外側の判別に役立つ。
✗ 4. 答えではない(急性期にみられる)
運動制限
疼痛による防御性の制限に加え、断裂片の嵌頓(ロッキング)により伸展が完全にできなくなることがある。
ポイント
  • 半月板の役割は関節適合性の向上と荷重分散・衝撃吸収。動揺性の制動は靱帯が担う。
  • 急性期の典型所見は、関節裂隙の限局した圧痛・腫脹(関節血腫や水腫)・運動制限。
  • 半月板損傷に特徴的なのはロッキング(嵌頓症状)とクリック。
  • 他覚的な動揺性(不安定性)は靱帯損傷の所見。半月板損傷でみられる「膝くずれ感」は疼痛による反射性の脱力であり、ストレステストで確認される動揺性とは別物である。
  • 不安定性があるときは十字靱帯・側副靱帯の合併損傷を疑って評価し、ロッキングが持続する場合は医師の診察を勧める。急性期はRICE処置で腫脹と疼痛を抑える。
比較表
所見半月板損傷靱帯損傷
圧痛関節裂隙に限局損傷靱帯の走行に一致
腫脹あり(関節血腫・水腫)あり(関節血腫)
運動制限あり(ロッキングを含む)疼痛による制限
不安定性(動揺性)なし(訴える「膝くずれ感」は疼痛による反射性の脱力)あり(ストレステストで他覚的に確認できる)
特徴的な症状嵌頓症状(ロッキング)、クリック動揺性による膝くずれ、ストレステスト陽性
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