学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ27P069

理由で解く 柔道整復師

QJ27P069 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問69
問題
握雪音を生じるのはどれか。
選択肢
1 仮骨の軟化
2 外傷性皮下気腫
3 偽関節
4 外傷性骨化性筋炎
解答
正解2(外傷性皮下気腫)
解説

握雪音は皮下にたまった空気を押したときの、新雪を握るような「ギュッ」という感触・音。外傷では皮下気腫で触知する。

肋骨骨折の骨片が肺を傷つけた場合や、気管・食道の損傷、開放創から空気が入り込んだ場合に、皮下組織へ気体が侵入して皮下気腫となる。指で圧すると細かい気泡がつぶれ、握雪音(握雪感)として触れる。これはあくまで触診で得られる感触であり、聴診で聴かれる捻髪音(肺の副雑音、fine crackles)とは別のものなので混同しない。皮下気腫があるということは、どこかで空気が体腔や外界とつながっているということであり、気胸・血気胸、さらに緊張性気胸へ進む危険を意味する。範囲が広がる、呼吸困難や頻呼吸・チアノーゼが出る、頸部まで気腫が及ぶといった場合は、患者を安静・半坐位に保ち、ただちに救急要請または医師へ搬送する。骨折部の固定は必要だが、胸郭を強く締め付ける固定は換気を妨げるので避ける。

✓ 2. 正しい
外傷性皮下気腫
皮下組織に入り込んだ空気を押しつぶす感触が握雪音。肋骨骨折に伴う肺損傷などのサインで、気胸の合併を必ず疑う。
✗ 1. 誤り
仮骨の軟化
仮骨がまだ軟らかい時期には骨折部にわずかな異常可動性が残ることはあるが、骨折端はすでに仮骨に包まれているため軋轢音は触れない(軋轢音の消失は骨癒合が進んだ指標のひとつ)。もちろん空気は関与しないので握雪音も生じない。
✗ 3. 誤り
偽関節
骨癒合が完全に停止し、骨折部が関節のような動きを示す状態。異常可動性が残る一方で疼痛や軋轢音は乏しく、握雪音は生じない。
✗ 4. 誤り
外傷性骨化性筋炎
血腫が器質化して筋や軟部組織内に骨・軟骨が形成される状態。触れるのは硬い腫瘤・硬結で、関節可動域制限が問題となる。空気は関与しない。
ポイント
  • 握雪音(握雪感)=皮下気腫。指で押すと新雪を握るような感触で、触診所見である。
  • 捻髪音は肺の副雑音(聴診所見)であり、握雪音とは別の用語。
  • 皮下気腫があれば肺損傷・気胸の合併を疑い、呼吸状態を観察して医師へつなぐ。
  • 軋轢音は骨片どうしの摩擦音で、新鮮完全骨折の固有症状。仮骨に包まれると触れなくなる。
  • 偽関節は異常可動性が残るが疼痛・軋轢音は乏しい。
  • 骨化性筋炎で触れるのは硬い腫瘤と可動域制限。
比較表
所見触れる感触代表的な病態
握雪音(握雪感)雪を握るような細かい気泡感皮下気腫(肺・気管損傷、開放創)
軋轢音骨どうしの粗い摩擦音新鮮完全骨折(仮骨形成後は消失)
異常可動性本来動かない部位が動く完全骨折・偽関節(仮骨軟化期にもわずかに残る)
硬結・腫瘤硬く動かない塊外傷性骨化性筋炎
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