学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ27P068

理由で解く 柔道整復師

QJ27P068 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問68
問題
関節包内骨折はどれか。
選択肢
1 上腕骨外科頸骨折
2 上腕骨顆上骨折
3 大腿骨頸部内側骨折
4 大腿骨大転子単独骨折
解答
正解3(大腿骨頸部内側骨折)
解説

大腿骨頸部内側骨折は股関節包の内側で起こる関節包内骨折。関節包内には骨膜がないため骨膜性仮骨がつくられず、骨頭への血行も断たれやすい。

関節包内骨折には二つの弱点がある。第一に、関節包の中では骨の表面が関節軟骨と滑膜に覆われていて骨膜が存在しない。そのため骨膜性(外骨膜性)仮骨が形成されず、内骨膜性仮骨だけに頼った治癒になる。加えて骨折部が滑液(関節液)に浸されることで血腫が保たれにくく、その器質化も妨げられるので、癒合はいっそう不利になる。第二に、関節包内の骨には栄養血管が入る経路が限られており、骨折によって末梢側(骨頭側)の血行が途絶して阻血性骨壊死を起こす。股関節包は前面で転子間線に付着するため、頸部の大部分は関節包の中にある。大腿骨頭を養う血管は関節包を通って頸部を遠位から近位へ上行するので、頸部内側骨折ではこの経路が断たれる。骨癒合不全・遅延癒合・大腿骨頭壊死の代表例であり、高齢者では手術が選ばれることが多い。疑った時点で無理に動かさず、下肢を固定して医師へつなぐ。

✓ 3. 正しい
大腿骨頸部内側骨折
関節包は転子間線まで付着するので、頸部(内側部)は関節包内。骨膜がなく骨膜性仮骨が期待できないうえ、骨頭への血行も途絶しやすいため、癒合不全と骨頭壊死が問題になる。
✗ 1. 誤り
上腕骨外科頸骨折
外科頸は解剖頸より遠位で、肩関節包の付着部より末梢=関節包外。上腕骨で関節包内骨折となるのは解剖頸骨折のほう。
✗ 2. 誤り
上腕骨顆上骨折
顆上部は肘関節包より近位にあり関節包外。骨癒合そのものは良好で、問題になるのは内反肘変形やフォルクマン拘縮といった合併症。
✗ 4. 誤り
大腿骨大転子単独骨折
大転子は関節包の外側にあり関節包外骨折。中殿筋・小殿筋の牽引で骨片が上方へ転位するが、血行は保たれ骨癒合は良好。
ポイント
  • 関節包内骨折=骨表面に骨膜がない→骨膜性仮骨ができず内骨膜性仮骨のみ+血行に乏しい。
  • 関節液は血腫の形成・器質化を妨げる(副次的な不利要因)。
  • 代表:大腿骨頸部内側骨折、上腕骨解剖頸骨折、手舟状骨骨折、大腿骨頭骨折。
  • 股関節包は転子間線まで付着=頸部は包内、転子部は包外。
  • 大腿骨頭の血行は頸部を遠位から近位へ上行するので、頸部骨折で途絶する。
  • 合併症は遅延癒合・偽関節・阻血性骨壊死。早期に医師の診断へつなぐ。
比較表
部位関節包との関係治癒のしやすさ
大腿骨頸部内側骨折関節包内癒合不全・骨頭壊死を起こしやすい
大腿骨転子部・大転子骨折関節包外血行豊富で癒合良好
上腕骨解剖頸骨折関節包内骨頭壊死の危険
上腕骨外科頸・顆上骨折関節包外癒合は良好
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