学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §12 心肺蘇生法(救急法) / QJ27P051

理由で解く 柔道整復師

QJ27P051 外科学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問51
問題
心肺蘇生で誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 気道異物除去-上腹部圧迫法
2 用手的気道確保-上顎挙上法
3 胸骨圧迫心臓マッサージ-5cm以上圧迫
4 AED(自動体外式除細動器)-心室細動
解答
正解2(用手的気道確保-上顎挙上法)
解説

用手的な気道確保は頭部後屈あご先挙上法と下顎挙上法。「上顎挙上法」という手技は存在せず、この組合せが誤り。

意識のない人で気道が塞がる最大の原因は、力の抜けた舌の根元が咽頭の後壁に落ち込むこと(舌根沈下)である。舌は下顎に付いているので、下あごを前に出せば舌ごと持ち上がって気道が開く。だから用手的な気道確保はどれも「下あごを動かす」ことが軸になる。上顎は頭蓋骨と一体で動かせないため、挙上のしようがない。具体的には、頸椎損傷が疑われない場合は額を押し下げながらあご先を持ち上げる頭部後屈あご先挙上法、疑われる場合は頭を動かさずに下顎角を前方へ押し出す下顎挙上法を選ぶ。

✓ 2. 誤り(これが答え)
用手的気道確保-上顎挙上法
「下顎挙上法」であれば正しい組合せになる。実際に行うのは、頸椎損傷が疑われない傷病者では頭部後屈あご先挙上法、交通外傷や高所からの転落など頸椎損傷が否定できない場面では、頭頸部を動かさずに両手で下顎角を前方へ押し出す下顎挙上法である。柔道整復の現場でも、まず反応と呼吸を確認し、頸部を保護しながら気道を開く手順を身につけておく。
✗ 1. 正しい(答えではない)
気道異物除去-上腹部圧迫法
腹部突き上げ法(ハイムリック法)のこと。背後から抱え、へその上・剣状突起の下にあたる上腹部に握りこぶしを当て、手前上方へすばやく突き上げる。横隔膜を押し上げて肺内の空気で異物を押し出す原理である。妊婦や高度肥満、乳児には行わず、背部叩打法や胸部突き上げ法を用いる。実施後は腹部臓器損傷の可能性があるため医師の診察につなぐ。
✗ 3. 正しい(答えではない)
胸骨圧迫心臓マッサージ-5cm以上圧迫
成人では胸骨の下半分を、胸が約5cm沈む強さで(6cmを超えないように)、100〜120回/分のテンポで圧迫し、圧迫のたびに胸を完全に元へ戻す。浅い圧迫では血流が生まれないため、5cmを深さの下限の目安として示すこの表現は誤りとは扱われていない。
✗ 4. 正しい(答えではない)
AED(自動体外式除細動器)-心室細動
電気ショックの適応は心室細動と無脈性心室頻拍で、けいれんするように震えている心筋を一度リセットして正常なリズムの再開を促す。心静止や無脈性電気活動には適応がなく、AEDは自動で「ショックは不要」と判定する。装着後は音声指示に従い、ショックの直後はただちに胸骨圧迫を再開する。
ポイント
  • 用手的気道確保は頭部後屈あご先挙上法と下顎挙上法の2つ。「上顎挙上法」という手技はない。
  • 気道閉塞の主因は舌根沈下。舌は下顎に付くので、下あごを前へ出せば気道が開く。
  • 頸椎損傷が疑われる場面では、頭を反らさずに下顎挙上法を選ぶ。
  • 成人の胸骨圧迫は約5cm(6cmを超えない)、100〜120回/分、完全なリコイル。
  • AEDの適応は心室細動と無脈性心室頻拍。心静止・無脈性電気活動は適応外。
比較表
手技やり方使いどころ・注意
頭部後屈あご先挙上法額を押し下げ、あご先を持ち上げる頸椎損傷が疑われない場合の基本
下顎挙上法頭を動かさず、下顎角を前方へ押し出す頸椎損傷が疑われるときの選択
上顎挙上法上顎は頭蓋と一体で動かせないこのような手技は存在しない
腹部突き上げ法(ハイムリック法)上腹部を手前上方へ突き上げる妊婦・高度肥満・乳児には行わない
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