学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ27P042
理由で解く 柔道整復師
若い女性に、日光過敏・口内炎・両側の手関節痛・脱毛・発熱がそろい、さらに尿の異常(タンパク陽性・潜血陽性)、血小板減少、抗二本鎖DNA抗体陽性がある。これだけ多くの臓器がまとめて障害される病気は全身性エリテマトーデス(SLE)である。
SLEは自己抗体と免疫複合体が全身のあちこちに沈着して炎症を起こす膠原病で、20〜40代の女性に圧倒的に多い(男女比はおよそ1対9)。この症例を臓器ごとに並べ直すと、皮膚(日光過敏・脱毛)、粘膜(繰り返す口内炎=口腔潰瘍)、関節(両側手関節の関節痛)、腎(タンパク尿・血尿=ループス腎炎)、血液(血小板減少)、全身(持続する発熱)となり、どれか一つの臓器の病気では説明できない。この「多臓器にまたがる」という形そのものがSLEの姿である。
決定打は抗二本鎖DNA(抗ds-DNA)抗体である。抗核抗体は膠原病全般で広く陽性になるためスクリーニング向きだが、抗ds-DNA抗体と抗Sm抗体はSLEをほぼ名指しする特異度の高い抗体で、とくに抗ds-DNA抗体はループス腎炎の活動性と並んで上下する。活動期には補体(C3・C4・CH50)が消費されて低下することもあわせて覚えたい。
柔道整復の現場では、若い女性が手関節の痛みを訴えて来院したとき、発熱・皮疹・脱毛・尿の異常が重なっていないかを問診で拾いたい。外傷歴のない両側性の関節痛に全身症状が伴う場合は、施術を続けるのではなく内科(膠原病内科・リウマチ科)の受診をすすめるのが適切な対応である。
| 疾患 | 好発 | 皮膚・粘膜の特徴 | 特徴的な検査所見 | 見分けの決め手 |
|---|---|---|---|---|
| 全身性エリテマトーデス | 20〜40代の女性(男女比約1対9) | 日光過敏、蝶形紅斑、無痛性の口腔潰瘍、脱毛 | 抗ds-DNA抗体・抗Sm抗体陽性、補体低下、血小板減少 | 腎・血液・関節など多臓器に同時に及ぶ |
| 皮膚筋炎 | 中高年(小児にも一峰)、女性にやや多い | ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候 | CK・アルドラーゼ上昇、筋電図・筋生検異常 | 近位筋の筋力低下+特有の皮疹 |
| 全身性強皮症 | 30〜50代の女性 | レイノー現象、指先から始まる皮膚硬化 | 抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体、抗セントロメア抗体 | 「硬くなる」+レイノー現象 |
| ベーチェット(Behçet)病 | 20〜40代、男女差は小さい | 有痛性の再発性口腔アフタ、外陰部潰瘍、結節性紅斑 | 特異的自己抗体なし。HLA-B51、針反応陽性 | 口腔アフタ+眼症状(ぶどう膜炎)。四主症状が全部そろえば完全型、一部なら不全型 |
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