学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §12 主要な疾患 消化器疾患 / QJ27P034

理由で解く 柔道整復師

QJ27P034 一般臨床医学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問34
問題
肝細胞癌の原因疾患で最も多いのはどれか。
選択肢
1 A型肝炎
2 B型肝炎
3 C型肝炎
4 E型肝炎
解答
正解3(C型肝炎)
解説

日本の肝細胞癌の原因としてもっとも多いのはC型肝炎ウイルス(HCV)です。本問が出題された第27回(2019年)時点では、肝細胞癌の約6割がHCV関連、約1〜2割がHBV関連と報告されていました。

HCVは血液を介して感染し、急性感染のおよそ7割が慢性化します。慢性肝炎の状態で肝細胞の壊死と再生が20〜30年にわたって繰り返されるうちに遺伝子変異が蓄積し、肝硬変を経て肝細胞癌が発生します。肝硬変まで進むと年率数%で発癌するため、この「持続感染→慢性炎症→肝硬変→発癌」の流れが、肝細胞癌でC型が最多となる理由です。B型肝炎ウイルス(HBV)も肝細胞癌の重要な原因ですが頻度はC型に次ぎ、DNAが宿主ゲノムに組み込まれるため肝硬変を経ずに発癌することがある点が特徴です。なお2014年以降のDAA(直接作用型抗ウイルス薬)の普及によりHCVの排除が進み、近年はアルコール性やNAFLD/NASHなどの非B非C型肝疾患を背景とする肝細胞癌の比率が増えていますが、出題時点ではC型が最多という位置づけでした。

✓ 3. 正しい
C型肝炎
HCVは慢性化率が高く、長期の慢性炎症を経て肝硬変・肝細胞癌に至ります。出題時点(2019年)の国内統計では肝細胞癌の原因の約6割を占め、最多でした。問診でC型肝炎の既往や輸血歴を把握したら、腹部超音波や腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)による定期的なサーベイランスを受けているかを確認し、未受診であれば消化器内科の受診を勧めます。
✗ 1. 誤り
A型肝炎
HAVは汚染された水や生ガキなどによる経口(糞口)感染で、急性肝炎を起こしますが慢性化しません。持続感染しない以上、慢性炎症を土台とする肝細胞癌の原因にはなりません。ワクチンによる予防が可能で、流行地域への渡航前接種が勧められます。
✗ 2. 誤り
B型肝炎
HBVは血液・体液・母子(出生時)感染により持続感染を起こし、肝硬変・肝細胞癌の原因となります。ウイルスDNAが宿主の肝細胞ゲノムに組み込まれるため肝硬変を経ずに発癌しうる点は重要ですが、出題時点の国内では肝細胞癌全体の約1〜2割で、C型に次ぐ位置でした。「原因になるが最多ではない」ため本問の答えにはなりません。ワクチン(現在は乳児の定期接種)と、母子感染予防・針刺し後の対応が確立しています。
✗ 4. 誤り
E型肝炎
HEVは加熱不十分なブタ・イノシシ・シカの肉やレバー、汚染水を介した経口感染で、通常は一過性の急性肝炎にとどまり慢性化しません(臓器移植後など高度の免疫抑制下で慢性化した報告はありますが例外的です)。妊婦で劇症化しやすい点が特徴ですが、肝細胞癌の主因ではありません。予防は食肉の十分な加熱です。
ポイント
  • 出題時点(第27回・2019年)で日本の肝細胞癌の原因の最多はC型肝炎(約6割)、次いでB型(約1〜2割)。
  • 発癌の道筋は「持続感染→慢性肝炎→肝硬変→肝細胞癌」。慢性化しないウイルス(A型・E型)は原因にならない。
  • HCVは急性感染の約7割が慢性化。20〜30年かけて発癌に至る。
  • HBVはDNAが宿主ゲノムに組み込まれるため、肝硬変を経ずに発癌することがある。
  • 近年はDAAによるHCV排除の進展で、アルコール性・NAFLD/NASHを背景とする非B非C型の割合が増加している。
比較表
ウイルス主な感染経路慢性化肝細胞癌との関係ワクチン
A型 (HAV)経口(汚染水・生ガキ)しない原因とならないあり(任意)
B型 (HBV)血液・体液・母子する(乳幼児期感染で高率)原因の約1〜2割。肝硬変を経ずに発癌することもあり(乳児定期接種)
C型 (HCV)血液(輸血・注射器具など)高率(約7割)出題時点で最多(約6割)なし
E型 (HEV)経口(加熱不十分な豚・猪・鹿肉)原則しない原因とならない(妊婦で劇症化しやすい)国内では実用化されていない
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。