学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ27P013

理由で解く 柔道整復師

QJ27P013 リハビリテーション医学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問13
問題
松葉づえで正しいのはどれか。
選択肢
1 木製松葉づえはJIS規格に制定されていない。
2 長さは身長の3/4程度である。
3 握りで体重を支える2点支持つえである。
4 上肢に体重を支える力がなくても適応がある。
解答
正解2(長さは身長の3/4程度である。)
解説

松葉づえの長さは身長のおよそ4分の3(身長からおよそ40cmを引いた長さ)が目安です。体重は腋窩ではなく握りで支えます。

松葉づえは、下肢の免荷が必要な場面で使う支持性の高いつえです。適合の要点は3つあります。第一に全長で、身長の約4分の3が目安になります。第二に腋窩当ての高さで、腋窩から2〜3横指(約3〜4cm)下に当たるように合わせます。第三に握りの位置で、つえ先を足先の前外側に置いたとき肘が約30度屈曲する高さにします。腋窩当てに体重を預けると腋窩部で橈骨神経が圧迫され、いわゆる松葉づえ麻痺(下垂手)を起こすため、体重は握りにかけ、腋窩当ては体側で軽く挟んで方向づけと安定に使うよう指導します。使用前にはつえ先ゴムの摩耗と各部のねじの緩みを毎回点検します。

✓ 2. 正しい
長さは身長の3/4程度である。
松葉づえの適正な全長は身長の約4分の3で、身長から約40cmを引いた長さとしてもほぼ同じ値になります。身長160cmなら約120cmが目安です。本肢はこの身長比による長さの目安をそのまま述べたもので、正しい記述です。全長を決めたあとは必ず立位で、腋窩当てが腋窩から2〜3横指下にあること、握りを持ったとき肘が約30度屈曲することを確認します。長すぎると腋窩を突き上げて神経を圧迫し、短すぎると体幹が前傾して不安定になります。
✗ 1. 誤り
木製松葉づえはJIS規格に制定されていない。
松葉づえは日本産業規格(JIS)に規定があり、木製のものも規格の対象に含まれます。「規格が存在しない」という前提が成り立ちません。
✗ 3. 誤り
握りで体重を支える2点支持つえである。
3点つえ・4点つえの「点」は接地する脚の数を指す呼び方で、松葉づえの脚は1本です。松葉づえは腋窩当てと握りで体重を受ける腋窩支持型のつえで、いわゆる多脚つえとは別の分類になります。これにあたるのは3点つえ・4点つえといった多脚つえで、松葉づえの脚は1本です。身体側で見ても、松葉づえは腋窩当てと握りをもつ腋窩支持型で、握りだけで体を支えるつえ(T字つえ)とは構造が異なります。体重を腋窩ではなく握りにかけるという指導自体は正しいのですが、腋窩当てを体側で挟んで固定することが支持性の要であり、本肢の分類の説明は松葉づえには当てはまりません。
✗ 4. 誤り
上肢に体重を支える力がなくても適応がある。
松葉づえ歩行は、肩を下制する広背筋・大胸筋、肘を伸ばす上腕三頭筋、そして握力で体重を支える動作です。上肢筋力が不十分な場合は適応となりません。その場合はまず平行棒内歩行や歩行器を用い、上肢筋力強化を進めてから松葉づえに移行します。
ポイント
  • 全長は身長の約4分の3(身長−約40cm)。身長160cmなら約120cmが目安で、合わせた後は立位で再確認する。
  • 腋窩当ては腋窩から2〜3横指下。握りは肘が約30度屈曲する高さ。
  • 体重は握りで支える。腋窩に体重をかけると橈骨神経が圧迫され松葉づえ麻痺(下垂手)を起こす。
  • 「3点つえ・4点つえ」の点は接地する脚の数。松葉づえは脚1本で、多脚つえではない。
  • 身体との接点で分けると、T字つえ=握りのみ、ロフストランドつえ=前腕カフ+握り、松葉づえ=腋窩当て+握り(腋窩支持型)。
  • 広背筋・大胸筋・上腕三頭筋・握力が使えることが導入の前提。足りなければ歩行器や平行棒から始める。
  • 使用のたびにつえ先ゴムの摩耗とねじの緩みを点検する。
比較表
つえの種類と特徴
種類身体との接点接地部(脚の数)支持性主な適応
T字つえ握りのみ1本低い軽度のバランス補助、軽い免荷
多脚つえ(3点つえ・4点つえ)握りのみ3〜4本中等度立位バランスが不良で、自立して立てる例
ロフストランドつえ前腕カフ+握り1本中〜高長期使用、手を離しても落ちない利点がある
松葉づえ腋窩当て+握り(腋窩支持型)1本(左右1対で使用)高い下肢の免荷が必要な例。上肢筋力があることが前提
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