学習トップ理由で解く 柔道整復師関係法規 ▸ §1 患者の権利 / QJ27P001

理由で解く 柔道整復師

QJ27P001 関係法規

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問1
問題
患者の権利として誤っているのはどれか。
選択肢
1 プライバシーの権利
2 黙秘権
3 知る権利
4 自己決定権
解答
正解2(黙秘権)
解説

患者の権利は「知って・自分で決めて・守られる」ことを医療の場で保障するもの。黙秘権はこれとは出どころが違い、刑事手続で捜査機関に対して個人を守る権利なので、患者の権利の枠には入らない。

患者の権利の国際的な土台は世界医師会のリスボン宣言で、良質な医療を受ける権利、選択の自由、自己決定権、情報を得る権利(知る権利)、秘密を守られる権利(プライバシー)などが並ぶ。日本でも医療法第1条の4第2項が「医療の担い手は適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならない」と定め、インフォームド・コンセントとして制度に組み込まれている。柔道整復師の現場では、施術の内容・見通し・費用を分かる言葉で説明し、同意を得てから施術し、経過を施術録に残すという流れが、そのままこれらの権利を実現する行為になる。一方で黙秘権は日本国憲法第38条第1項(自己に不利益な供述を強要されない)と刑事訴訟法に根拠があり、向き合う相手は捜査機関や裁判所である。「誰から何を守る権利か」で切り分けると混同しない。

✓ 2. 患者の権利ではない(これが答え)
黙秘権
憲法第38条第1項と刑事訴訟法に基づく刑事手続上の権利で、取調べや公判で不利益な供述を強要されないことを保障する。医療の場で患者が既往歴などを話したくないという場面は、黙秘権ではなくプライバシーの権利・自己決定権の問題として扱う。施術者としては、答えたくない事柄を無理に聞き出そうとせず、施術に必要な情報である理由を説明したうえで改めて協力を求めるとよい。
✗ 1. 患者の権利にあたる(答えではない)
プライバシーの権利
施術で知り得た身体の状態や家庭の事情を、みだりに他人に知られない権利。柔道整復師法第17条の2の守秘義務や個人情報保護法がこれを支えている。待合室で他の患者に聞こえる声で症状を確認しない、施術録は施錠して保管するといった配慮が具体的な実践になる。
✗ 3. 患者の権利にあたる(答えではない)
知る権利
自分の身体に何が起きているか、どんな施術を受け、どれくらいで治り、いくらかかるのかを説明してもらう権利。施術録の開示を求める権利も含まれる。専門用語をかみ砕き、必要なら図を使って伝えることで満たされる。
✗ 4. 患者の権利にあたる(答えではない)
自己決定権
説明を受けたうえで、施術を受けるか、断るか、他の施術者や医療機関の意見を聞くかを自分で決める権利。インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンの土台になる考え方で、同意は「一度取れば終わり」ではなく、方針が変わるたびに取り直す。
ポイント
  • 患者の権利=知る権利・自己決定権・プライバシーの権利・良質な医療を受ける権利。国際的な土台は世界医師会のリスボン宣言。
  • 黙秘権は憲法第38条第1項に基づく刑事手続上の権利で、守る相手は捜査機関。患者の権利の一覧には入らない。
  • インフォームド・コンセントは医療法第1条の4第2項の努力義務。説明→理解→同意の順序を崩さない。
  • 柔道整復師の守秘義務は柔道整復師法第17条の2。柔道整復師でなくなった後も続く。
  • 説明した内容と同意の事実を施術録に残すことが、権利を守った証拠になる。
比較表
項目患者の権利(プライバシー・知る権利・自己決定権)黙秘権
主な根拠リスボン宣言、医療法第1条の4第2項、個人情報保護法、各資格法の守秘義務日本国憲法第38条第1項、刑事訴訟法
誰に対する権利か医師・柔道整復師などの医療者、医療機関・施術所捜査機関・裁判所
働く場面説明と同意、記録の開示、個人情報の管理取調べ、公判
柔道整復師の実務説明→同意→施術→施術録/秘密の保持業務上、直接の関わりはない
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