学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ27A104

理由で解く 柔道整復師

QJ27A104 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問104
問題
後天性の免疫不全はどれか。
選択肢
1 重症複合型免疫不全症
2 ディジョージ(Di George)症候群
3 伴性無ガンマグロブリン血症
4 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
解答
正解4(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症)
解説

HIV感染症は生後に感染して免疫能が低下する後天性(続発性)免疫不全です。他の3つはいずれも遺伝子異常や発生異常による先天性(原発性)免疫不全で、生まれつき免疫系の部品が欠けています。

免疫不全は、免疫系そのものの形成に障害がある先天性(原発性)と、いったん完成した免疫系が後から傷害される後天性(続発性)に大別されます。先天性ではどの細胞系列が障害されるかで感染の型が変わり、B細胞・抗体系の欠損なら細菌の反復感染、T細胞・細胞性免疫の欠損ならウイルス・真菌・原虫による日和見感染、両方が欠ければ乳児期から重篤な感染を繰り返します。後天性の原因は圧倒的に多く、HIV感染症のほか、悪性腫瘍、抗癌剤・副腎皮質ステロイド・免疫抑制薬の使用、放射線、低栄養、糖尿病、脾臓摘出などが挙がります。HIVはCD4陽性Tリンパ球に感染してこれを破壊するため細胞性免疫が崩れ、ニューモシスチス肺炎やカンジダ症、サイトメガロウイルス感染などの日和見感染症、カポジ肉腫や悪性リンパ腫を発症した段階で後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断されます。

✓ 4. 正しい
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
唯一の後天性免疫不全です。HIVはCD4分子を受容体としてヘルパーT細胞に侵入し、これを破壊していくため細胞性免疫が徐々に崩壊します。その結果、健常者では発症しないニューモシスチス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染、結核などの日和見感染症や、カポジ肉腫・悪性リンパ腫を生じます。性的接触、血液、母子感染が主な感染経路です。
✗ 1. 誤り
重症複合型免疫不全症
先天性の免疫不全です。T細胞とB細胞の両方の機能が障害される最重症型で、アデノシンデアミナーゼ欠損症などが知られています。生後まもなくから細菌・ウイルス・真菌のあらゆる感染を反復し、無治療では生命予後がきわめて不良です。生後に獲得した障害ではないため後天性には当たりません。
✗ 2. 誤り
ディジョージ(Di George)症候群
先天性の免疫不全です。22番染色体長腕の微細欠失により第3・第4咽頭嚢の発生が障害され、胸腺低形成によるT細胞不全、副甲状腺低形成による低カルシウム血症とテタニー、大血管の心奇形、特徴的な顔貌をきたします。発生の段階で生じる異常であり、後天性ではありません。
✗ 3. 誤り
伴性無ガンマグロブリン血症
先天性の免疫不全です。X連鎖劣性遺伝でB細胞の成熟が停止し、免疫グロブリンがほとんど産生されません(ブルトン型)。母体由来のIgGが減る生後6か月頃から、肺炎球菌などの莢膜をもつ細菌による気道感染を反復します。遺伝子異常が原因であり、後天性の枠には入りません。
ポイント
  • 免疫不全は先天性(原発性)と後天性(続発性)に大別。生まれつきか、後から傷害されたかで振り分ける。
  • 後天性の原因:HIV感染症、悪性腫瘍、抗癌剤・ステロイド・免疫抑制薬、放射線、低栄養、糖尿病、脾摘。
  • HIVはCD4陽性ヘルパーT細胞を破壊 → 細胞性免疫低下 → 日和見感染症・悪性腫瘍を発症してAIDSとなる。
  • 先天性は障害される系列で感染の型が変わる。B細胞系=細菌の反復感染、T細胞系=ウイルス・真菌・原虫、両系=乳児期からの重篤感染。
  • ディジョージ症候群は胸腺低形成に加え、低カルシウム血症によるテタニーと心奇形をセットで覚える。
比較表
疾患先天性/後天性障害される主体
HIV感染症後天性CD4陽性ヘルパーT細胞(ウイルスが破壊)
重症複合型免疫不全症先天性T細胞・B細胞の両方
ディジョージ症候群先天性胸腺低形成によるT細胞(+副甲状腺低形成)
伴性無ガンマグロブリン血症先天性B細胞(免疫グロブリン産生不全)
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