学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §3 病因 / QJ27A096

理由で解く 柔道整復師

QJ27A096 病理学概論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問96
問題
男性より女性に多い疾患はどれか。
選択肢
1 血友病
2 甲状腺癌
3 心筋梗塞
4 肺癌
解答
正解2(甲状腺癌)
解説

4肢のうち女性に明らかな優位があるのは甲状腺癌で、男女比はおよそ1対3です。残る3つはいずれも男性優位で、その理由は「遺伝形式」「ホルモン」「生活習慣」のどれかで説明できます。

疾患の性差は病理学でいう内因(素因)の代表格で、丸暗記ではなく成因から逆算すると迷いません。第一にX染色体上の劣性遺伝子による病気は、X染色体を1本しか持たない男性に発症が集中します。第二に喫煙・飲酒といった曝露量の男女差が、肺癌や虚血性心疾患の男性優位をつくります。第三に女性ホルモン環境が関与する疾患は女性に偏り、甲状腺癌(その大半を占める乳頭癌)は思春期以降に性差が開くことからエストロゲンの関与が想定されています。「その病気を成立させている要因は男女どちらに偏るか」を考える習慣をつけましょう。

✓ 2. 正しい
甲状腺癌
女性に多い代表的な悪性腫瘍で、男女比はおよそ1対3です。組織型の大部分を占める乳頭癌が20〜40歳代の女性に好発し、性差は思春期以降に開きます。頸部前面の無痛性腫瘤として気づかれることが多く、進行が緩徐で予後が良好な点も特徴です。
✗ 1. 誤り
血友病
X連鎖劣性(伴性劣性)遺伝で、発症のほとんどが男性です。女性はX染色体を2本持つため、片方が正常なら凝固因子がある程度産生されて保因者にとどまります。同じ理屈でデュシェンヌ型筋ジストロフィーや赤緑色覚異常も男性に偏ります。
✗ 3. 誤り
心筋梗塞
男性に多い疾患です。エストロゲンにはLDLコレステロールを下げ血管内皮を保護する働きがあり、閉経前の女性は動脈硬化が進みにくいこと、加えて喫煙率の男女差が効いています。閉経後は女性の発症が増え、性差は縮まっていきます。
✗ 4. 誤り
肺癌
男性に多い疾患です。最大の危険因子である喫煙の曝露量に男女差があることが主因で、とくに喫煙との関連が強い扁平上皮癌・小細胞癌で男性優位が顕著です。喫煙と関連の薄い腺癌は女性にも比較的多くみられます。
ポイント
  • 性差は「内因(素因)」の一つ。遺伝形式・ホルモン環境・生活習慣の3方向から成因を逆算する。
  • 甲状腺癌は女性優位(男女比およそ1対3)。大半を占める乳頭癌が若年〜中年女性に好発する。
  • ほかに女性に多い:全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、胆石症、骨粗鬆症、鉄欠乏性貧血。
  • 男性に多い:血友病などX連鎖劣性疾患、肺癌・胃癌・食道癌、心筋梗塞、痛風。
  • X連鎖劣性=原則として男性が発症・女性は保因者、という一本の筋で血友病・デュシェンヌ型・伴性無ガンマグロブリン血症をまとめて処理できる。
比較表
疾患多い性偏る理由
甲状腺癌女性(約1対3)女性ホルモン環境の関与。乳頭癌が若年〜中年女性に好発
血友病男性X連鎖劣性。女性は正常X染色体があるため保因者にとどまる
心筋梗塞男性閉経前女性はエストロゲンの脂質・血管保護作用で守られる。喫煙率の差
肺癌男性喫煙曝露量の男女差(とくに扁平上皮癌・小細胞癌)
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