学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §5 姿勢 / QJ27A092

理由で解く 柔道整復師

QJ27A092 運動学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問92
問題
立位姿勢の安定性が良いのはどれか。
選択肢
1 重心の位置が高い。
2 支持基底の面積が狭い。
3 重心線が支持基底の辺縁に近い。
4 接触面との摩擦抵抗が大きい。
解答
正解4(接触面との摩擦抵抗が大きい。)
解説

立位の安定性は、支持基底面が広く・重心が低く・重心線が支持基底面の中央にあり・床との摩擦が大きいほど高まる。摩擦抵抗の大きさを挙げた選択肢4が正しい。

姿勢の安定性は「重心線を支持基底面の中に、余裕をもって収め続けられるか」で決まる。支持基底面(接地している部分とそれらを結んだ範囲)が広いほど、重心線が外へ出るまでの余裕が大きくなる。重心が低いほど、同じ傾き角に対する重心の水平移動量が小さいので倒れにくい。重心線が支持基底面の辺縁に近いと、わずかな外乱で基底面の外に出てしまう。加えて、床との摩擦が小さければ足そのものが滑って支持基底面を保てないため、摩擦抵抗も安定条件に含まれる。足を開いて立つ、杖や歩行器で基底面を広げる、腰を落として重心を下げる、滑りにくい履物を選ぶ、といった転倒予防の指導はすべてこの原理に対応している。

✓ 4. 正しい
接触面との摩擦抵抗が大きい。
摩擦が大きいほど足が滑らず、支持基底面を保ったまま姿勢を立て直せる。濡れた床や靴下だけの歩行で転びやすいのは摩擦が減るためで、滑り止め付きの履物にする、床材やマットを見直す、水濡れをすぐ拭き取るといった環境調整が有効な対策になる。
✗ 1. 誤り
重心の位置が高い。
重心は低いほど安定する。重心が高いと、体幹がわずかに傾いただけで重心線が大きく水平移動し、支持基底面から外れやすくなる。相撲や柔道で腰を落とした構えをとるのはこのためで、ふらつきのある人にも膝を軽く曲げて重心を下げるよう促すとよい。
✗ 2. 誤り
支持基底の面積が狭い。
支持基底面は広いほど安定する。両足を肩幅程度に開く、杖や歩行器を使うといった方法で面積を広げれば、重心線が動ける余地が増えて外乱に耐えやすくなる。逆に閉脚立位や継ぎ足立位はバランス評価の負荷条件として用いられる。
✗ 3. 誤り
重心線が支持基底の辺縁に近い。
重心線は支持基底面の中央にあるほど安定する。辺縁に近づくほど外乱に対する余裕(安定域)が小さくなり、少し押されただけで基底面の外へ出てしまう。荷物を片側だけで持たせない、体幹をまっすぐ保つよう促す、といった指導につながる。
ポイント
  • 安定性を高める条件: ①支持基底面が広い ②重心が低い ③重心線が支持基底面の中央にある ④質量が大きい ⑤摩擦抵抗が大きい
  • 支持基底面=接地している部分とそれらを結んだ範囲。両足の間の床も含まれる
  • 重心線が支持基底面から外れた瞬間に転倒が始まる、と理解すると全条件がつながる
  • 成人の立位重心は第2仙椎のやや前方、身長の約55〜56%の高さ
  • 実践への置き換え: 足を開く/杖・歩行器で基底面を広げる/腰を落とす/滑りにくい履物と床にする
比較表
条件安定性が高いのは現場での使い方
支持基底面の広さ広いほど安定両足を開く、杖・歩行器を使う
重心の高さ低いほど安定膝を曲げて腰を落とす、荷物を低く持つ
重心線の位置支持基底面の中央ほど安定体幹をまっすぐ保つ、荷物は左右均等に
質量(体重)大きいほど安定構えで踏ん張るときの理屈として理解する
床との摩擦大きいほど安定滑り止め付きの履物、床の水濡れをなくす
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