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理由で解く 柔道整復師

QJ27A085 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問85
問題
妊娠初期に分泌が最大となるのはどれか。
選択肢
1 エストロゲン
2 プロラクチン
3 プロゲステロン
4 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
解答
正解4(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)
解説

妊娠初期に分泌が急増して最大となるのはヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)である。エストロゲン・プロゲステロン・プロラクチンはいずれも妊娠末期に向けて増え続ける。

受精卵が着床すると、絨毛の合胞体栄養細胞がhCGを分泌し始める。hCGは名前に「刺激ホルモン」を含むが下垂体前葉由来ではなく、胎盤(絨毛)でつくられる点がまず重要である。hCGはLHとよく似た構造・作用をもち、本来なら退縮するはずの黄体を妊娠黄体として維持させ、そこからのプロゲステロン・エストロゲン分泌を続けさせることで子宮内膜を保つ。分泌量は妊娠8〜10週ごろに最高となり、その後は急速に低下して以後は低い水準で推移する。これは、胎盤が十分に発達する妊娠10週前後を境に、プロゲステロン・エストロゲンの産生源が黄体から胎盤へ移る(黄体-胎盤移行)ためで、hCGによる黄体の下支えが不要になるからである。血中・尿中に早期から出現するので妊娠反応の指標に使われるのもこの立ち上がりの早さによる。一方、胎盤由来のプロゲステロンとエストロゲンは妊娠期間を通じて増加し続け、分娩直前に最大となる。プロラクチンも妊娠中に漸増するが、高濃度のエストロゲン・プロゲステロンが乳腺への作用を抑えているため、実際の乳汁分泌は分娩後にこれらが急減してから始まる。「初期の主役はhCG、末期の主役はプロゲステロン・エストロゲン、産後の主役はプロラクチンとオキシトシン」と時間軸で並べると混同しない。

✓ 4. 正しい
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
着床直後から絨毛(合胞体栄養細胞)が分泌し、妊娠8〜10週ごろにピークを迎えてその後は低下する。妊娠黄体を維持してプロゲステロン分泌を保つのが主な役割であり、4つの中で唯一「初期に最大」というパターンをとる。
✗ 1. 誤り
エストロゲン
妊娠中のエストロゲンは主に胎盤(胎児副腎由来の前駆物質を利用)でつくられ、妊娠の進行とともに増え続けて末期に最大となる。子宮筋の発育やオキシトシン受容体の増加を通じて分娩の準備を進める役割があり、初期に最大となるホルモンではない。
✗ 2. 誤り
プロラクチン
下垂体前葉から分泌され、妊娠中はエストロゲンの作用で徐々に増加し、分娩前後から授乳期にかけて最も高くなる。乳腺の発育と乳汁産生を担うホルモンであり、増加のピークは初期ではなく妊娠後半以降である。
✗ 3. 誤り
プロゲステロン
妊娠初期は妊娠黄体から、10週前後以降は胎盤から分泌され、妊娠期間を通じて増加して末期に最大となる。子宮筋の収縮を抑えて妊娠を維持する働きが中心で、初期に最大となるわけではない。なお、初期の黄体からの分泌を支えているのがhCGである点も合わせて押さえたい。
ポイント
  • hCGは着床後に絨毛(合胞体栄養細胞)から分泌され、妊娠8〜10週ごろにピーク、その後低下する。
  • 名前に「性腺刺激ホルモン」とあるが下垂体前葉ではなく胎盤(絨毛)由来。「刺激ホルモン=下垂体前葉」の原則の例外として押さえる。
  • hCGの主作用は妊娠黄体の維持=プロゲステロン分泌の継続。構造・作用はLHに類似する。
  • 妊娠10週前後で産生源が黄体から胎盤へ移る(黄体-胎盤移行)ため、以後hCGは不要になり減少する。
  • エストロゲン・プロゲステロンは妊娠を通じて増加し、分娩直前に最大
  • プロラクチンは妊娠中に漸増するが、乳汁分泌は分娩後にエストロゲン・プロゲステロンが急減してから始まる。
比較表
ホルモン主な産生源分泌が最大となる時期主な働き
hCG絨毛(合胞体栄養細胞)妊娠初期(8〜10週ごろ)妊娠黄体の維持、妊娠反応の指標
プロゲステロン妊娠黄体→胎盤妊娠末期子宮筋の収縮抑制・妊娠の維持
エストロゲン妊娠黄体→胎盤妊娠末期子宮の発育、分娩準備
プロラクチン下垂体前葉分娩前後〜授乳期乳腺発育と乳汁産生
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