学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §2 運動器の構造と機能 / QJ27A086

理由で解く 柔道整復師

QJ27A086 運動学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問86
問題
骨格筋の最も小さい構造はどれか。
選択肢
1 筋原線維
2 筋線維
3 筋束
4 筋フィラメント
解答
正解4(筋フィラメント)
解説

骨格筋は「筋束 → 筋線維 → 筋原線維 → 筋フィラメント」という入れ子(マトリョーシカ)構造で、外側から内側へ行くほど細くなる。選択肢の中で最も内側にあり最も小さいのは筋フィラメントなので、正解は 4。

筋腹の全体は筋外膜に包まれ、その内部は筋周膜で仕切られた「筋束」の集まりに分かれ、筋束の中身は 1 本 1 本が筋内膜に包まれた細長い多核細胞、すなわち「筋線維(筋細胞)」である。筋線維の直径はおよそ 10〜100 マイクロメートルで、その細胞質はぎっしり詰まった「筋原線維」(直径およそ 1〜2 マイクロメートル)で満たされる。筋原線維をさらに拡大すると、ミオシンからなる太いフィラメントとアクチンからなる細いフィラメントが規則正しく重なり合っており、その太さはナノメートル単位(太いフィラメントで約 15 nm、細いフィラメントで約 6〜8 nm)と桁がひとつどころか二つ小さい。収縮は滑走説のとおり、この 2 種類のフィラメントが互いに滑り込んで筋節(サルコメア)が短くなることで起こる。直列に連なったサルコメアの短縮が足し合わされて筋全体が短くなるので、直列のサルコメア数(=筋線維長)が短縮距離と短縮速度を決める。これに対し並列に並ぶ筋線維の本数(=生理学的断面積)が決めるのは発揮張力であって短縮量ではない(羽状筋は並列成分が多く、力は大きいが短縮量は小さい)。つまり「大きさの階層を一番下までたどるとフィラメントに行き着く」というのが本問の骨子である。なお、収縮の機能的な最小単位としてサルコメアを挙げる記述もあるが、サルコメアは筋原線維の長軸方向の繰り返し区画であり、それを構成する部品がフィラメントである。本問は「構造として最も小さいもの」を問うているので、迷ったら「サルコメアの中に入っている部品はどれか」と考え直すと 4 に決まる。

覚え方としては、階層名を外側から 「束 → 線維 → 原線維 → フィラメント」 と口に出して並べ、包む側の膜(筋外膜・筋周膜・筋内膜)を対応させて紙に描き出しておくとよい。同じ順序で「筋外膜が筋全体、筋周膜が筋束、筋内膜が筋線維を包む」と結びつけておけば、大きさを問う問題でも被膜を問う問題でも同じ 1 枚の図から答えを取り出せる。

✓ 4. 正しい
筋フィラメント
アクチン(細いフィラメント)とミオシン(太いフィラメント)というタンパク質の分子集合体そのもので、太さはナノメートル単位。筋原線維を構成する部品であり、4 つの選択肢の中で最も小さい構造である。
✗ 1. 誤り
筋原線維
筋線維(筋細胞)の内部を埋めている直径 1〜2 マイクロメートルほどの糸状構造。横紋(明帯・暗帯)の実体は筋原線維内のフィラメント配列そのもの(明帯=I 帯は細いフィラメントだけの領域、暗帯=A 帯は太いフィラメントのある領域)であり、それが 1 本の筋線維の中で位相をそろえて並ぶため、筋線維全体、ひいては筋全体が横紋筋として観察される。いずれにせよ筋原線維はフィラメントの束であり、フィラメントより一段大きい。「最も小さい」の直前の階層で、ひっかけとして最も選ばれやすい肢である。
✗ 2. 誤り
筋線維
骨格筋の細胞そのもの(多核・細長い円柱状、直径およそ 10〜100 マイクロメートル)で、筋内膜に包まれる。筋原線維を多数含む側であり、より大きい階層に当たる。
✗ 3. 誤り
筋束
筋線維が多数集まって筋周膜に包まれた束で、4 つの中では最も大きい。肉眼でも筋の断面に見える「肉の繊維の粒」がこのレベルにあたる。
ポイント
  • 骨格筋の階層は外側から 筋(筋腹)→ 筋束 → 筋線維 → 筋原線維 → 筋フィラメント。右へ行くほど小さく、最小はフィラメント。
  • おおよその太さ: 筋線維 10〜100 µm > 筋原線維 1〜2 µm > フィラメント 数〜十数 nm。単位が µm から nm へ落ちる点が決め手。
  • 筋フィラメントの正体は 太い=ミオシン、細い=アクチン。両者が滑り込む(滑走説)ことでサルコメアが短縮する。
  • サルコメアは筋原線維の長軸方向の繰り返し区画で「収縮の機能的単位」。その部品がフィラメントなので、構造の大小を問われたらフィラメントが最小。
  • 直列=短縮距離・短縮速度/並列=張力: 直列に連なるサルコメア数(=筋線維長)が短縮量と短縮速度を決め、並列に並ぶ筋線維の本数(=生理学的断面積)が発揮張力を決める。羽状筋は並列成分が多く、力は大きいが短縮量は小さい。
  • 被膜とセットで覚える: 筋外膜=筋全体、筋周膜=筋束、筋内膜=筋線維。階層を 1 枚の図に描いて再現できるようにしておく。
比較表
階層(大きい順)実体おおよその太さ包む結合組織
筋(筋腹)筋束の集合体肉眼レベル筋外膜
筋束(選択肢 3)筋線維の束数百 µm〜mm筋周膜
筋線維(選択肢 2)多核の筋細胞約 10〜100 µm筋内膜
筋原線維(選択肢 1)サルコメアが直列に並んだ糸状構造約 1〜2 µm—(細胞内)
筋フィラメント(選択肢 4・正答)ミオシン(太い)/アクチン(細い)約 15 nm / 約 6〜8 nm—(筋原線維内)
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