学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ27A063

理由で解く 柔道整復師

QJ27A063 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問63
問題
吸息時の肺胞内圧と胸膜腔内圧の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 肺胞内圧が陽圧-胸膜腔内圧が陽圧
2 肺胞内圧が陽圧-胸膜腔内圧が陰圧
3 肺胞内圧が陰圧-胸膜腔内圧が陽圧
4 肺胞内圧が陰圧-胸膜腔内圧が陰圧
解答
正解4(肺胞内圧が陰圧-胸膜腔内圧が陰圧)
解説

吸息時は肺胞内圧・胸膜腔内圧ともに陰圧になる。空気が肺へ流れ込むのは肺胞内圧が大気圧より低くなるからであり、胸膜腔内圧は安静呼吸では終始陰圧のままである。

胸膜腔内圧は、肺が縮もうとする弾性収縮力と胸郭が広がろうとする力が引き合って生じる陰圧で、安静呼気終末で約−5cmH2O、吸息時には約−8cmH2Oまでさらに下がる。横隔膜と外肋間筋が収縮して胸郭が広がると、この陰圧が肺を外向きに引き伸ばし、肺胞の容積が増えて肺胞内圧が大気圧より約1cmH2O低くなり、その圧差で空気が流入する。呼息では肺の弾性収縮力で肺胞が縮み、肺胞内圧が大気圧より高い陽圧に転じて空気が出ていくが、胸膜腔内圧は安静呼吸の範囲では陰圧を保ち続ける(強い努力呼出では一時的に陽圧になりうる)。「肺胞内圧は吸息で陰圧・呼息で陽圧と振れる、胸膜腔内圧は安静呼吸では常に陰圧」と2本立てで押さえるのが要点である。

✓ 4. 正しい
肺胞内圧が陰圧-胸膜腔内圧が陰圧
吸息時は胸郭の拡大により胸膜腔内圧が約−5から約−8cmH2Oへとさらに陰圧化し、引き伸ばされた肺胞の内圧も大気圧より低い陰圧(約−1cmH2O)となる。この肺胞内圧の陰圧が空気を吸い込む原動力になる。
✗ 1. 誤り
肺胞内圧が陽圧-胸膜腔内圧が陽圧
肺胞内圧が陽圧になるのは呼息時であり、吸息時には当てはまらない。また胸膜腔内圧が陽圧になるのは咳や強い努力呼出などの特殊な状況、あるいは気胸で胸膜腔の陰圧が失われた場合であって、安静吸息では起こらない。
✗ 2. 誤り
肺胞内圧が陽圧-胸膜腔内圧が陰圧
胸膜腔内圧が陰圧である点は正しいが、肺胞内圧が陽圧となるのは呼息時である。吸息では大気から肺へ空気が入るので、肺胞内圧は必ず大気圧より低くなければならない。
✗ 3. 誤り
肺胞内圧が陰圧-胸膜腔内圧が陽圧
肺胞内圧が陰圧である点は正しいが、胸膜腔内圧の向きが逆。胸膜腔が陽圧になれば肺は外から押されて虚脱してしまい、吸息そのものが成立しない。
ポイント
  • 吸息時:肺胞内圧=陰圧(約−1cmH2O)、胸膜腔内圧=陰圧(約−8cmH2O)。
  • 呼息時:肺胞内圧=陽圧(約+1cmH2O)、胸膜腔内圧=陰圧のまま(約−5cmH2O)。
  • 胸膜腔内圧の陰圧は、肺の弾性収縮力と胸郭の拡張力がつり合って生まれる。
  • 安静吸息の主動筋は横隔膜と外肋間筋。安静呼息は肺の弾性収縮による受動的な過程。
  • 胸膜腔の陰圧が失われた状態が気胸で、肺は虚脱する。
比較表
時期肺胞内圧胸膜腔内圧気流
呼気終末(休止期)0(大気圧と同じ)約−5cmH2Oなし
吸息時陰圧(約−1cmH2O)陰圧(約−8cmH2O)大気 → 肺
呼息時陽圧(約+1cmH2O)陰圧(−8 → −5へ戻る)肺 → 大気
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